ナイジェリア:民間部門との連携が紛争被害地域にもたらす希望

06/02/2018

 

2018年1月、トニー・エルメル財団との覚書調印式に臨むモハメド・シェイク―アリ。ナイジェリアの武力紛争や暴力による被害者たちの手に意思決定権を取り戻させるにあたり、民間部門との連携がICRCにどのように貢献するかを説明 © Imad Ulayi /ICRC

 

モハメド・シェイク―アリは、アフリカ地域最大規模の経済自立支援事業の一つである、ナイジェリアでの事業を調整しています。2017年初頭からナイジェリアのICRC代表部は、事業を緊急支援から、避難している人々と家に戻った避難民の自立を支援するプロジェクトに徐々に切り替えています。成功させるため、ICRCは革新的な手段をとり、大学や政府機関、民間部門とパートナーシップを構築してきました。モハメドはナイジェリアの経験は容易に習熟できるもので、見習うべき例だと話します。

 

質問:長期的にコミュニティーが回復できるよう、ICRCはどのように支援を行っていますか?

モハメド:ICRCの支援方針は、支援が緊急支援から復興へとつながるよう導きます。支援を受ける人々が勇気づけられ、状況が安全になるやいなや日常生活を再開できるよう、支援プログラムを考えます。これは、被害を受けたコミュニティーが生計に必要な資産を再び活性化させ、インフラなどのサービスを復活させることを含みます。ICRCは数年にわたり経済復興の強化を目的に、小規模プロジェクトを実施してきました。時に、プロジェクトの目的は、実際に収入を得る受益者家族の枠を越えたところにあります。ICRCの起業支援によって、社会的・経済的利益がより広いコミュニティーにももたらされるからです。雇用機会を生み出し、社会のつながりを強化します。武力紛争や暴力の影響を受けた個人やコミュニティーの自立を促し、長期的な利益を生み出すことを私たちは望んでいます。同時に、避難してきたばかりで食料や生き延びるための生活必需品を必要としている人たちには、引き続き必要に応じて緊急支援を提供します。

 

ナイジェリア北東部。紛争によって避難を強いられている人々への支援を続ける一方で、収入確保を手助けする持続可能なプログラム開発にもあたる ©IAdavize Baiye/ICRC

 

質問:ナイジェリアの試みで、特有の例は何ですか?

たとえば、2017年だけでナイジェリア北東部とデルタ地域の50万人が農業用機材と耕作の質を向上する農機具を受け取りました。また、収入源となる活動を立ち上げるための現金給付も行われました。その結果、少額の助成金を受けた北東部の寡婦たちの多くは、今では人を雇う立場となっています。

 

民間部門とのパートナーシップも一例です。協力の背景にある概念は、これまで支援してきた人々の需要に根差しています。2016年上旬、アダムワ州のムビ町へ、避難から戻った人々に提供した農業支援の成果を調査するために訪問した際、彼らの意見は明確なものでした。「ありがとう。私たちは、もう支援を必要としていません。十分に畑を耕しました。」

 

このトラックの効果は車そのもののサイズよりも大きい。アダマワ州のミチカ市場に新鮮な商品を運び、この地域での商売再興に一役買った。交付金を提供する際、個人や家庭だけを助けるのでなく、コミュニティーへの幅広い効果を目指す © Abubakar Laido/ICRC/

 

しかし、コミュニティーは別の課題を抱えていました。個人所有のトウモロコシ精製機、搾油器やその他の収穫後の処理業務が稼働していませんでした。紛争で損害を受けたほか、住民が避難して機械が使われなかったために錆びついていたのです。紛争後の状況下で、こうした活動を回復させる一番良い方法は、サービスを行っていた、もしくは修理をしていた事業家を助けることです。それこそが、紛争と暴力によって破壊されたコミュニティーの経済復興を支援するプログラムをICRCが世界中で奨励する理由です。

 

ニジェール・デルタ地域での暴力による被害を受け、コミュニティーの中で一番脆弱な立場に置かれている女性たちの地位向上にICRCは尽力している。サラは、キャッサバから作る主食のガリを生産するビジネスを再開するために支援を受けた。現在は家族の生計を支え、コミュニティー内の生産的なメンバーへとなっていった © Adavize Baiye /ICRC

 

質問:最近ナイジェリアのトニー・エルメル財団とパートナシップを交わしました。このパートナーシップは、生活をどのように改善しますか?

財団との協働は、小規模な取り組みを新たな局面に導いてくれるのではないかと、私たちは期待しています。家や地域からの避難を強いられ、コミュニティーを良い方向に転換してくれるプロジェクトで助けを求める若い専門家の要求に応えることができます。ビジネス案はすでに出始めていて、多くのアイディアは独創的で印象的です。避難先から家に戻り、地域のために働き始めている何百もの男女からアイディアを募りました。移動式ソーラー灌漑、獣医向け薬局、マイクロ・ファイナンス・プロジェクト、粉ひき器、近代化された水産加工、その他、支援が実行されたら地域の持続可能な社会経済的な復興の基礎をもたらす多くのものを含みます。

 

2018年1月、トニー・エルメル財団の設立者、トニー・エルメル(左から2番目)とICRCアフリカ地域担当副事業局長のパトリック・ユスフ(左から3番目)は、他のアフリカ諸国へパートナーシップを拡大していくことも視野に入れながら、革新的な介入を通じて武力紛争や暴力の影響を受けた地域の経済的困窮に総体的に対応していくべく、パートナーシップの合意書に署名した ©Imad Ulavi/ICRC

 

私たちは日々、コミュニティーの人たちと話をし、彼らのニーズ把握に努めます。トニー・エルメル財団に、支援を受ける人たちを成功に導く、開発プログラムの専門家を見つけました。コミュニティーに直接アクセスできるおかげで、財団が提供するオンライン上の申請、トレーニング、指導プログラムにアクセスしようとする人が障がいに直面しても取り除くことができます。財団の指導員を現場へ連れていくことで、紛争や暴力の状況下で消耗させてきた若い人たちの絶望感や喪失感を打ち壊すことができるでしょう。このパートナーシップにとても期待していて、他のアフリカ諸国へも広げていきたいと願っています。

 

原文は本部サイト(英語)をご覧ください。