6人のカメラマンが見たイエメン内戦

30/05/2019

5年目に突入したイエメン紛争。これまでに多くの死者を出し、町を破壊し、病気の蔓延を招いたばかりではなく、日常生活のあらゆる面で混乱が生じました。絶望感が漂い、日増しに無力感が募ります。

 

赤十字国際委員会(ICRC)は、新鋭のカメラマン6名とチームを組み、イエメン全土の町や村が紛争によって破壊された様子を写真に収めました。メンバーは、Ahmad Al Basha、Karrar Al Moayyad、Saleh Bahlais、Abdallah Al Jaradi、Khaled Al Thawr 、Ali Al Sonidarです。

 

Sonidar氏は、美しいサナア旧市街で育ち、世界中から訪れる観光客がどのようにスークや建造物、人物を撮影するかを観察しながら、写真撮影のコツを身に付けていきました。

「照明や構成といった写真技術以上の発見がありました」と、28歳の写真家は言います。

 

「観光客の写真は、場所や人々の物語を語るのです。私もこんな風に写真を撮りたいと思いました。人間味にあふれ、メッセージ性があって、変化を促す写真です。」

 

Sonidar氏は、今ではイエメン中から集まった写真家グループの一人として、紛争の最中にある日常を記録しています。

「正直に言えば、市街に来る観光客の屈託のない様子を撮る日々に戻りたいと思っています。しかし、現状では無理だし、誰かが戦争の語り部の役を引き受けないといけませんから」と語りました。

 

最悪ともいえる市街戦に見舞われた南部の都市タイズでは、ごみが街中にあふれ、根絶したはずの病気が蔓延しました。

イエメンの首都サナアとアデン湾に面する南西部の都市アデンは貧困にあえいでいます。北西部のサーダでは廃墟が子どもたちの遊び場です。西部のマリブでは家を追われた子どもたちは何もない中で遊び道具を考え出し、日々の重い現実にあっても少しでも楽しみを見つけようとしています。


 

Karrar al-Moayyad/ICRC

イエメン北西部のサーダで破壊された家々を背景にサッカーに興じる子どもたち。2006年から戦闘が何度も繰り返され、北西部の町は廃墟と化した。

 

Karrar al-Moayyad/ICRC

極度の栄養失調状態にある乳児。サカイン村から遠く離れたサーダのアル・サラム病院に運ばれた。紛争が長期化し、物資の輸送が困難になったため、イエメンでは大規模な食料危機が発生しています。最新のデータによると、全国で1,600万近くの国民が食料難にあえいでいる。

 

Saleh Bahlais/ICRC

イエメン南部の沿岸都市アデンのクレーター地区。自分と孫娘が食べる手元にある食料をチェックする避難民女性。

 

Ahmad Al Basha/ICRC

イエメンの中心地、タイズのアルジャマリヤ地区にある自宅の状態を確認するため戻ってきた男性。この地区のアパートのほとんどは、2年にわたる激しい武力衝突で瓦礫と化した。

 

Ahmad Al Basha/ICRC

タイズに散乱する廃棄物の山から売り物になりそうなゴミを拾い集める少年。不衛生な環境が常態化したイエメンでは、国民はコレラなど死亡率の高い病原菌に感染する危険と隣り合わせている。

 

Ahmad Al Basha/ICRC

タイズの東にある国内避難民のためのアルマリカ・キャンプ。汚れた水と小さなたらいを使って体を洗う少年。紛争により、約200万のイエメン人がより安全な地域を求めて故郷をあとにした。

 

Ahmad Al Basha/ICRC

片手に赤ん坊を抱き、重いポリ容器を頭に乗せて運ぶ女性。タイズ西部のハベール・サルマンにある自宅から最寄りの給水所まで2キロ以上の道のりを週に何度も通う。イエメンの上下水道はもともと脆弱である上に、長年にわたる紛争で使用不能になった。

 

Khaled Al Thawr/ICRC

イエメン北西部ハッジャから来た女性たち。所持品は、布をかけてかろうじて体裁を整えたテントと、生活の糧にと売るスナック類だけ。

 

Ali Al Sonidar/ ICRC

家族の帰りを待つ二人の兄弟。紅海沿岸一帯で発生した戦闘から逃れるためにイエメン西部の港湾都市ホデイダから一家で避難。ようやくたどり着いたシェルターは窓一つなく真っ暗で、換気もできない。

 

Ali Al Sonidar/ ICRC

通学用のバッグを買う余裕がないため、米袋に教科書を入れて学校に通うサナアの少年。最新のデータによると、2,500校以上がイエメン紛争でダメージを受けるか、破壊された。多くの学校は避難所として利用され、一部は武装集団に占拠されることも。

 

Ali Al Sonidar/ ICRC

激しい戦闘により、サナアの黄褐色の旧市街を含む美しい歴史的建造物は破壊された。残った建造物も破壊の危機がつきまとう。訪れる観光客の足は遠のき、土産物を売る行商人は日々の暮らしもままならない。

 

Abdallah Al Jaradi/ICRC

サナア東部のマリブ。おもちゃを買う余裕がないため放課後に三輪車を組み立て、遊びに興じる二人の子ども。

 


イエメンでは、ICRCが水関連の企業や当局への支援を通じ、数百万人に安全な水の供給を進めています。私たちは被拘束者を訪問し、収容所内の人道状況の改善も促しています。ICRC外科チームを追加で派遣したり、ICRCがサポートする施設において、避難民を含む全国数十万から100万以上の人々が治療や救急医療を受けられるように医療面でもサポート。そのほか、食料の配付、生計を立てるための助成金支給、生活必需品の提供などさまざまな形で人々の暮らしに寄り添っています。