ガイドラインの編纂責任者が来日講演

文民と軍人の区別をより明確に
ガイドラインの編纂責任者が来日講演

ICRC法律顧問のニルズ・メルツァーが6月下旬に来日し、「敵対行為への直接参加(Direct Participation in Hostilities)」に関するICRC解釈ガイドラインについて、日本国際問題研究所主催セミナーをはじめ、日本国際法学生協会(JILSA)、京都大学国際法学研究会で講演しました。また、防衛省職員など政府関係者との意見交換も行い、近年の武力紛争の傾向から、DPHの定義の必要性及びその概念について説明しました。

同ガイドラインはメルツァーの主導で取りまとめられ、昨夏に出版されました。国際人道法の原則の中には、「戦闘員と文民(一般市民)の区別」というものがあります。戦闘員と文民を分けて、戦闘に直接参加していない文民は法によって保護されなければならないため、この原則は大変重要になってきます。国際人道法上、武力紛争下にいる人々は、攻撃の際に正当な標的とみなされる人と、攻撃から保護されるべき人に分けられます。前者には、紛争当事者に帰属する組織された戦闘員が入り、後者には文民、戦闘能力を失った非戦闘員等が入ります。

敵対行為に直接参加する文民は、戦闘員と同じく正当な標的とみなされます。しかし昨今では、内戦などの非国際的武力紛争において武装した反政府勢力が文民の中に紛れることが多く、また、文民も武力集団の一員として戦闘に加わることもあるなど、文民と戦闘員の区別がますます困難になってきています。そこで、ICRCが作成したガイドラインは、文民の定義や、どのような行為を”敵対行為への直接参加”と見なすのか、また、保護される権利を失うのはどういう状況か、の三つを主な論点として、それぞれを定義しています。

例えば、近年増加する軍などの紛争当事者に雇われた民間人および民間団体は、どのように扱われなければならないのか。この問いに対して、ICRCの解釈は、当該人または団体は文民であり、戦闘が行われている最前線に弾薬などを運び入れるなど、敵対行為への直接参加とみなされる行為を行わない限り保護されならければならないとしています。しかし、紛争当事者とともに行動をする立場上、付随的な傷害を受けやすいのも事実で、そうした場合、状況によっては加害者側が人道法を違反したとみなされない場合もあります。

国際人道法の番人であるICRCがこうした解釈を提示したことで、講演会や意見交換会では参加者から具体例を用いたさまざまな質問・意見が飛び交い、同問題への関心の高さがうかがわれました。

ICRCのDPH解釈ガイドライン(英語)は、ICRCジュネーブ本部(外部サイトへ/英語・その他)にて入手できます。

 

Interpretive guidance on the notion of direct participation in h