共同声明:72年経って初めて抱く真の希望

プレスリリース 06/08/2017

広島•長崎の原爆の日に寄せて

赤十字国際委員会 総裁 ペーター・マウラー
国際赤十字・赤新月社連盟 会長 近衞忠煇

 

72年前、二つの小さな核爆弾によって、 広島と長崎の街は廃墟と化し、数万の人々が炎に包まれました。そうした惨状を前に、人道支援活動は十分な役割を果たせず、ほぼ機能しませんでした。今日、核兵器が使われても同じことです。あのような事態に対応する能力を、国際社会は持ち得ていません。

 

2017年8月6日、9日の両日は、日本をはじめ世界中の人が黙祷しながら、核兵器のおぞましさを思い出すことでしょう。

 

しかし、私たちは今年、新たな状況の中で広島と長崎の被爆者に思いを馳せることができます。7月7日、122カ国の賛成によって核兵器禁止条約が採択されました。道徳、人道、そして今に至っては法的な見地から、大多数の国々が核兵器を断固拒絶したことを条約が確証しているのです。

 

72年経って初めて、私たちは真の希望を抱いています。

 

国際赤十字・赤新月運動が初めて核兵器の廃絶を訴えたのは、1945年9月でした。その目標に向かって、長年待ち望んだ歴史的な一歩が条約によって踏み出されたことを私たちは歓迎します。この条約は、核兵器使用による壊滅的な人道的影響を認め、国際人道法の原則に則って包括的な禁止を謳っています。そして、私たちが今日思いを寄せる被爆者の多くの方々にとっては遅すぎた感はありますが、被爆者支援に向けた積極的な貢献も条約に含まれています。

 

ここまでの道のりでさらに明らかになったことは、核兵器のもたらす影響が時空を超越するということです。被爆して数十年経っても、ガンは発生し続けます。広島と長崎で生き延びた人々の痛みや苦しみは、70年過ぎても癒えることはありません。親が被爆した場合、その子ども達は自身の健康に不安やリスクを抱えながら日々暮らしています。心に与えた損害は計り知れません。

 

限定的な使用であっても、核兵器は食料生産を著しく低下させ、世界的飢饉の引き金となります。国際情勢の緊張が高まることで、偶発的であれ、手違いであれ、意図的であれ、核兵器使用のリスクが増すことも私たちは理解しています。全ての国と社会が、核兵器を二度と使わないこと、そして完全に無くすことを確約する役割を担っているのです。

 

こうした理由から、私たちは全ての国家に対して、9月20日にニューヨークの国連本部において核兵器禁止条約に署名することを要請します。

 

条約によって、徹底的な省察、そして、断固とした対応を引き起こすことが可能となり、またそうした行動につなげなければなりません。核兵器保有国やその同盟国を筆頭に今回条約への署名を躊躇する国々は、核なき世界に向けた環境作りという約束を果たす上で、条約が生み出した機運に背中を押されなければならないのです。まずは、核兵器を反撃即応態勢から外し、軍事上の政策や計画からその役割を減らすことで、核兵器のリスク削減に向けた長年の責務を果たすべきです。

 

もちろん、条約が一夜にして核兵器を消し去るわけではありません。しかし、過去に生物兵器や化学兵器を禁止する条約がそうだったように、核兵器の使用が不名誉なことであるという意識を強めることにはなるでしょう。条約は、今日の世界において正当化されていた核兵器の役割を違法とし、核拡散に対する明白な阻害要因となり得ます。

 

全ての国家がこの条約を、核兵器の時代に終止符を打つ歴史的な機会として、また、人道的な惨劇が起こらないよう予防する手段としてとらえていると、私たちは信じます。それは、人類史に見られるいかなる危機をも最小限に抑えることにつながります。

 

核兵器によってもたらされた被害に世界が思いを馳せる今日、私たちは全ての国家と、世論に影響を与えるリーダー達に訴えます。未来の希望となりうる核兵器禁止条約に加入してください。そうすることで、人類を最優先に位置付けることができるのです。

 

原文は本部サイト(英語)をご覧ください。