日本での使命

日本から世界の生きる力を支える

紛争下の人たちの声を届ける

日本にとっては幸い戦争は過去の出来事。毎年8月には戦争についての番組や特集が組まれるなど、世間やメディアの関心が高まります。世界がうらやむ平和を享受している私たちが、過去を知り、時に向き合う大切な時期なのかもしれません。

一方で、日本の外に目を向けてみると、日々凄惨さを極める戦闘に多くの人が行き場をなくし、一日も早く平和が訪れることを心待ちにしている人たちがたくさんいます。彼らも私たちと同じで、家族や大切な人とずっと一緒にいたい、美味しいものを食べたい、旅行がしたい、友達と遊びたい、と思っています。そうした当たり前の日常や望み、そして命まで奪ってしまうのが戦争です。

たまたま生まれた土地が戦場と化し、一向に止む気配のない暴力に怯え、不安に暮らす毎日。遠く離れていても、同じ時代に生きる仲間として彼らの声や姿を無視することはできません。私たちは、今後も紛争下で力強く生きようとしている人たちに光を当て、同時に戦時の決まりごとである国際人道法の「守護者」として彼らの痛みや苦しみを和らげ、無くすことに力を尽くします。


人道外交と国際人道法の普及

2004年に日本は1949年ジュネーブ諸条約の2つの追加議定書に加入しました。また、近年、対人地雷禁止条約やクラスター弾禁止条約等の国際人道法に関連した国際的なルールにも締約しています。そうした意味からも日本は、アジア諸国を先導する立場でもあり、ジュネーブ諸条約(特に追加議定書)への加入を促す努力をこれまでも行ってきています。ICRCは、必要に応じて適切な支援と助言を行うと同時に、日本政府と協力して、国内外の国際人道法の履行確保に尽力しています。

国内においては、2017年に、外務省や日本赤十字社が共催して、国際人道法国内委員会を再開。今後、国際人道法の国内での普及および促進について、関係省庁や赤十字運動が議論を重ねて、具体的な取り組みを講じていくことが期待されています。ICRCは同委員会に対して専門的な見地を提供しつつ、議論の活性化を促します。

また、主要大学や日本赤十字社とも連携を強化して、国際人道法の国内普及に努めています。

人道外交に関しては、駐日事務所設立以来、総裁や事業局長などの幹部がジュネーブ本部から来日し、政府関係者とのハイレベルな対話を定期的に行っています。それらを通じ、喫緊の人道的課題や、ICRCを通じた紛争地における支援などについて意見交換を行っています。また、防衛省・自衛隊とは、捕虜・被拘束者の保護や戦闘の手段・方法などについて、国際人道法に基づいた指導や助言などを行い、隊員の養成・訓練などにも積極的に関与しています。この他にも、シンクタンクや市民社会との対話や協力を通じ、国際人道法や人道問題についての関心を喚起するとともに、専門家を交えた勉強会等を通じて、議論を先導しています。

さらに、私たちは、紛争地で多様化・複雑化する人道ニーズへの対応も見据えて、日本の民間セクターとの連携を目指した対話も始めています。


関心を呼びこみ、「自分事」に近づける

「辛い」「悲しい」「重い」といったイメージのある戦争を扱う組織として、日本では、エンターテイメントやイノベーションと融合させたアプローチによって関心を持ってもらうよう取り組んでいます。

マンガや映画、バーチャルリアリティー、ゲームなどです。また次世代を対象に、大学での講義に加えて、模擬裁判やヤングリポーターコンペティションも定期的に実施しています。毎年6月には、俳優の別所哲也さん主宰の「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」に参加し、「戦争と生きる力プログラム」をお届けしています。

日本のソフトパワーを用いて、世界のみんなの「生きる力」を支えるために何ができるのか、私たちと一緒に考えてもらえるきっかけになればと思っています。

日本人の顔の見える支援、ということでは、赤十字運動のパートナーである日本赤十字社との連携も欠かせません。現場で働く日本人の職員を増やしていくなかで、日赤とも協力して、医療スタッフをICRCの活動地に派遣しています。


Even wars have limits -戦争とはいえ やりたい放題は許されない

このスローガンを掲げながら、今後も日本の持つポテンシャルをあらゆる形で現場に届けていきたい。これが、私たち駐日事務所の願いです。