コロナ禍の生活を守り、支援依存に陥らないために

プレスリリース 04/06/2020

 
• ナイジェリアでは95%が「収入が減少した」と回答
• イラクでは83%が「生活が苦しくなった」と回答
• ウクライナでは75%が「日用品の物価が上昇した」と回答 

 
ジュネーブ (ICRC) – 私たち赤十字国際委員会 (ICRC)が最近実施した調査によると、新型コロナウイルス感染症の流行がもたらした経済的苦境によって、紛争下にある国で人道支援への依存が急拡大する恐れがあることがわかりました。政府や国際金融機関、人道・開発団体が連携して現状打破する必要があり、こうした状況に私たちは警鐘を鳴らします。
 
国際社会が結束して行動しなければ、コロナ禍で人道支援の需要が急増し、事態が深刻化する恐れがあります。健康と感染症予防に関する短・長期的なニーズが新たに生まれたり、これまで比較的安定した基盤の上に成り立っていたコミュニティーが一変して支援を必要としたりする可能性もあるでしょう。
 
今回の感染症が、経済と食料の安全保障に与える影響は甚大で、時間の経過とともに状況の悪化が見込まれます。紛争下にある国ではすでに、数百万人が医療や食料、水、電気に事欠く生活を強いられ、不安定な物価やインフラの崩壊に苦しんでいます。感染拡大によって、所得を失い、貧困や飢餓に拍車がかかるといった悪循環を引き起こす恐れもあるのです。
 
ICRCが活動する紛争地では、新型ウイルス感染症による深刻な影響がすでに見て取れます。
 
• 「新型コロナウイルス感染症の流行によって給料や収入が減少し、生活が苦しくなった」と回答した人の割合
ナイジェリア:95%(調査対象:313人)
イラク: 83%(調査対象:130人)
リビア:52%(調査対象:190人)
 
• 「コロナ危機を乗り切るための蓄えがない」と回答した人の割合
リビア:85%
イラク:77%
ナイジェリア:48%
 
• ウクライナでは、回答者215人のうち75%が「日用品の物価が上がった」ことを実感。47%は「市場における製品やサービスの取引が減った」と答えています。
 
ICRCで生活自立支援部門を率いるシャーロット・ベンボーンは次のように語ります。「新型コロナウイルス感染症の流行によって、家計が大きな打撃を受けています。紛争下にある国の状況はより深刻です。政府と人道支援団体が協力して対処しなければ、長期的に壊滅的な結果をもたらすことを懸念しています」
 
社会保護事業を維持または拡大して、最も弱い立場にいる人たちを取り込むよう当局に求めます。食料の安全保障や栄養摂取、生活扶助に焦点を置いた人道支援をことさら強化しなければなりません。
 
コロナ不況を乗り切るために、家族や隣人からお金を借りたり、買い物を控えたり、貯蓄を崩したり、思いつくことはすでに各家庭でやり尽くしたでしょう。経済的な打撃が最も深刻な世帯は食料にも事欠き、コロナによって物理的にも経済的にも食料の調達が制限されます。
 
厄介なことに、飢餓や栄養失調などの慢性的な問題に新型コロナウイルス感染症が重なると、状況の悪化に拍車がかかります。エボラ出血熱やSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)などが蔓延した際にもみられたように、食料の安全保障に悪影響を及ぼし、人々が栄養失調に陥る割合が高くなるのです。紛争地の保健システムを改善すれば、地域的にも世界的にも良い結果がもたらされることでしょう。
 
「紛争地における喫緊の課題は、感染症の予防や拡大防止に役立つ保健・給水・衛生システムを強化することです」と、ICRCの保健部門を統括するエスペランサ・マルチネスは語ります。
 
各国が必要な公共サービスの提供に苦心する中で、さらなる懸念は、収入不足によって家計がひっ迫し、すでに危機的な状況にある人々が食料にありつけなくなることです。移動制限が課された際には、働きに出るか、自身の健康を守るか、という厳しい選択を迫られます。
 
海外に移住した親戚からの送金に頼っている家族も、危機に直面しています。経済的に豊かな国でさえ、収入を得る機会が奪われているからです。世界銀行によると、新型コロナウイルス感染症の流行に起因した経済危機により、2020年の海外送金の総額は2割減と予測されています。イエメンを例に挙げると、コロナ禍で送金は大幅に減り、7割減ともいわれています。一方で同国では、紛争が始まった2015年以降、米、レンズ豆、牛乳、小麦粉、豆、食用油、砂糖、塩が入った食料品一式の値段は、6割も吊り上がっています。