70年後の今も広島・長崎に影を落とす原爆投下の衝撃
赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)による共同プレスリリース
広島/ジュネーブ
広島と長崎への原子爆弾投下から70年。赤十字病院は、いまだ数千人の被爆者を治療しています。患者は長期的な健康への影響に悩まされ、ガンを患って命を落とす人は約6割を占めます。
「何十年という歳月が流れた今でも、核兵器の使用によって両都市の人々が被った健康への悲惨な影響が見て取れます」と、赤十字国際委員会(ICRC)総裁のペーター・マウラーは話します。「この事実を踏まえて、一切の核兵器をこの世からなくすことよりも切迫した議論などあるでしょうか。特に、昨今の核武装国の兵器庫にある爆弾の大半が、70年前の原爆よりも強力かつ破壊力のあるものならばなおさらです」。
現在いる20万人近い被爆者の中で、放射線が原因で引き起こされる病気への治療を引き続き必要とするのは、今後数千人に上ると見込まれています。また、体は健康でも、原爆が残した心の傷による苦しみが続く被爆者もいます。
「70周年を迎えた今、核兵器による無差別な人道被害に再び思いを馳せる時です」と語るのは、国際赤十字・赤新月社連盟の会長、近衞忠煇です。国際赤十字・赤新月運動を代表して広島と長崎の式典に出席します。「原爆の影響は時空を超え、一度広がってしまえば二度と封じ込めることはできない、ということも思い起こさせてくれます」。
昨年だけで、広島と長崎にある日本赤十字社の原爆病院は、広島で4657名、長崎で6030名の患者を治療しました。
2014年3月に広島の原爆病院で命を落とした被爆者の約3分の2(63%)は、ガンが原因でした。主な内訳は、肺がん(20%)、胃がん(18%)、肝がん(14%)、白血病(8%)、腸がん(7%)、悪性リンパ腫(6%)です。長崎の原爆病院で同時期に亡くなった方の過半数以上(56%)が、やはりガンによるものでした。
日本赤十字社は、1956年から広島で、1969年からは長崎も加えて、被爆者のための病院を運営しています。この2つの病院が診察する外来患者は計250万人を超え、入院した患者は260万人以上にも上りました。
核兵器不拡散条約(NPT)の再検討会議が今年5月に開催されましたが、核兵器廃絶の道を辿るための合意には至りませんでした。そしてそのわずか数か月後に、私たちは原爆投下から70年を迎えることとなりました。