未来の世代を自律型兵器のリスクから守る

お知らせ
2024.03.28
ジュネーブで開催された、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組み内の自律型致死兵器システムに関する政府専門家会合

©ICRC

予測不可能な自律型兵器や、人間に対して武力を行使するよう設計された自律型兵器を禁止するため、各国は今すぐ行動をおこさなければなりません。また、それらの開発や使用に明確で拘束力のある制限を課さなければなりません。

以下は、2024年3月にジュネーブで開催された、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組み内の自律型致死兵器システムに関する政府専門家会合におけるICRCの発言。


赤十字国際委員会(ICRC)は、政府専門家会合の再開を歓迎します。

新年の幕開けと共に、心が前向きなることはよくあることです。私たちとしても、昨年を振り返り、今後の取り組みを展望するとき、自律型兵器システムに関する効果的な法的拘束力のあるルールを設ける機運が高まっていると前向きにとらえています。

先の国連総会では、164カ国という圧倒的多数の国が、オーストリアと43カ国の共同提案国によって提出された自律型兵器システムに関する決議案を支持しました。その中で国際社会は、これらの兵器に対する課題や懸念に対処するために行動する緊急の必要性を強調しました。

ICRC総裁と国連事務総長は、2026年までに自律型兵器の明確な禁止と制限を定めた新しい法的拘束力のある条約について検討・交渉するため、政治指導者に緊急に行動を起こすよう共同で呼びかけました。

12月にフィリピンのマニラで開催された地域会議では、インド太平洋諸国が提示した多様な見解を知る貴重な場となりました。同様の機会が今後ウィーン(オーストリア)とフリータウン(シエラレオネ)でもあり、期待を寄せています。

過去10年間で、この政府専門家グループやそれに先立つ専門家会議がおこなってきた議論は大きな進展を遂げました。しかし一方で、自律型兵器技術の発展も同様に進んでいます。

自社の武装ドローンが自律的に攻撃する能力を有していて、既に最近の紛争現場で使用されているものもあると、複数の企業が主張しています。実際に使われたかどうかを検証するのは非常に難しいですが、そのためのインフラはすでに存在していると私たちは見ています。

ICRCは、科学界や産業界などが提出した資料を含め、国連事務総長による報告書用に寄せられた資料を読み解き、さらなる理解を深めていきたいと考えています。CCWの枠組みの中で実施された作業も、この報告書に大いに貢献することになるでしょう。こちらの専門家会合でも、CCWの調査結果を踏まえて任務を全うすることを私たちは奨励します。

この専門家会合の期限が長いからといって、会合を開催した事実をもって満足することがあってはなりません。長いからこそ、実質的な進展を遂げる好機があるのです。昨年の結論に基づき、国際法に則って使用することが不可能な種類の自律型兵器システムと、禁止しなければならないその他の兵器システムを明確にし、自律型兵器に対する特別な制限を詳しく説明すべきです。これらの要素の一部は、各国の作業文書などに盛り込まれた具体的な文言から引き出すことが可能であり、締約国に対しては、そうしたさまざまな提案に建設的に関与することを期待します。

各国は、予測不可能な自律型兵器や、人に対して武力を行使するために設計・使用される兵器を禁止し、それ以外の全ての兵器の開発や使用に明確で拘束力のある制限を課すために、今すぐ行動を起こさなければなりません。

効果的かつ迅速な対応をおこなえば、未来の世代は、自律性を謳う技術がもたらす深刻なリスクから守ってくれたんだと、この会合が果たした役割に気づくことでしょう。

ICRCは、このような重要案件に取り組むすべての国に対して、今後も一貫して支援していく態勢を整えています。

政府専門家会合についての詳細はこちら(外務省サイト):https://www.mofa.go.jp/mofaj/dns/ca/pagew_000001_00431.html
参照記事(ICRC駐日代表部発行ニュースレター番外編):進化する軍事テクノロジーと人道支援