ICRC総裁がシリア入り「医療、水、エネルギー関連のインフラの保護を」

シリア
2025.01.31
シリアを訪問するICRC総裁

@ICRC

2025年1月、ICRCのミリアナ・スポリアリッチ総裁はシリアを3日間訪問しました。和解を促進し、長期的な安定を図るためには、国際人道法の尊重と行方不明者の家族に知らせを届けることが重要だと強く訴えました。

「私たちが把握していない行方不明者は、何万にも及ぶ可能性があります。そうしたなか、すでに4万件以上の追跡調査をおこなっています」と語る総裁。「その作業はとてつもなく膨大です。ただそれは同時に、なぜジュネーブ諸条約を遵守し、国際人道法が謳っている基本的な権利を常に守ることが必要なのかを裏付けています」。

総裁は訪問中、シリア新政権のムハンマド・バシル暫定首相に加えて、シリア・アラブ赤新月社のヘゼム・バクレ社長、アレッポにある政治問題担当事務所のサード・ナサン所長、そして、セドナヤ刑務所の被拘束者および行方不明者の会の会員たちと面談しました。

身内を探してる家族は数千に及びます。その苦痛は、誰ひとりとして味わいたくないでしょう。私たちは、パートナーと協力し、できるだけ迅速に情報提供ができるように努めています。しかし、ICRCがすべての被拘束者と面会できるようになってから結果を出すまでに何年も要しています。紛争中であれ紛争後であれ、ICRCが被拘束者に会うことが重要な理由はそこにあります。拘束された人びとの名前を記録し、個人を特定すれば、家族に知らせることができるからです。過去にこうしたことがおこなわれていれば、大事な身内の消息を求める家族はいなかったかもしれません

赤十字国際委員会(ICRC) ミリアナ・スポリアリッチ総裁

スポリアリッチ総裁は、膨大な人道ニーズに直面している二つの都市、アレッポとイドリブに足を運びました。アレッポでは、紛争の長期化で深刻な影響を受けている水や医療など必要不可欠な事業を支援するICRCの取り組みを視察しました。戦闘が激化しているユーフラテス川沿いの地域では、インフラを保護するため、できる限りの支援をおこなうよう求めました。何百万人が飲料水と電気の供給の支援を必要としています。

「電力と水を供給している発電所に何か起これば、潜在的に数百万人が影響を受ける可能性があります。だからこそ私は、関係する人々に、医療や水、エネルギー分野の重要なインフラを常に保護するよう求めるのです」

ICRC総裁

@ICRC


シリアの人々を訪問するICRC総裁

@ICRC

ICRCは、1967年以来、武力紛争の被害を受けた人々を支援するためにシリアで活動しています。現在は、首都ダマスカスをはじめ、アレッポやデリゾール、ハサカ、ホムスに拠点を置き、700名超の職員が戦闘や暴力の犠牲となった民間人のニーズを満たす人道支援に従事しています。