有事の際の「民間人保護」をテーマに東京でセミナー開催

お知らせ
2025.03.07

赤十字国際委員会(ICRC)は、2024年10月15‐17日の3日間、インド太平洋地域の軍関係者を招いて、紛争など有事の際の民間人の保護について話し合うセミナーを東京・港区で開催しました。

インド太平洋地域では、海洋領域も含め、その地理的要因からさまざまな緊張や安全保障上のリスクが内在しています。世界の至る所で地政学上の緊張が生じている昨今、有事に発展することを想定してシミュレーションをおこなうことも、いざというときに民間人を守るうえで必要となってきます。

自衛隊の協力を得て東京で開催した本セミナーには、14カ国から軍人および軍関係者およそ50人が参加。以下の4つのテーマを取り上げ、ケーススタディやいくつかのシナリオを基に活発な議論、意見交換をおこないました。

1. 民間人の保護を徹底するための「区別」「均衡性」「予防」の原則の重要性とその適用。
2. 都市部における紛争での国際人道法の適用:市民やインフラへの影響、人道支援へのアクセスと安全な避難など現場が抱えるさまざまな課題と、デジタル空間で出回る情報の真偽をいかに見極めるかなど。
3. 民間防衛:民間人を戦闘の危険から保護し、日常生活を取り戻すうえで、人道的な任務に従事する組織は何ができるのかなど。
4. 海上における民間人保護:商船や漁船に乗った人びとなど、海上における民間人の存在を認識した計画や作戦の必要性についてなど。

参加した各国の軍関係者は、紛争の影響を受けた民間人の苦しみを軽減するために、民間人保護を強化する方法について議論を深めました。

参加者およびICRC軍事顧問のインタビューコメントはこちらの動画をご覧ください。

民間人の保護と、助けを必要とする人たちへの人道支援は、ジュネーブ諸条約を軸とする国際人道法の核心です。万が一紛争が起こった場合には、法の下で義務を負うすべての国家と組織が、民間人や負傷者、捕虜を保護し、ルールに則って戦うことが求められます。そのためには、ルールそのものについて認識するだけでなく、環境の適切な分析や計画、訓練、準備への投資が必要です。

ICRC駐日事務所は引き続き、日本および当該地域にとって関心のあるテーマに斬りこみ、関係者との対話を強化して、国際人道法の普及や遵守の促進へのつなげていきます。