スーダン:紛争のインフラ破壊に端を発するコレラの流行

スーダン
2025.10.28

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©ICRC


ハルツーム/ジュネーブ ― スーダンでは、数万人の死傷者と数百万人の避難民を生むきっかけとなった紛争に加え、静かな危機が忍び寄っています。数年来で最悪のコレラの発生です。

 
スーダン保健省の発表によれば、2500人以上がコレラに感染し死亡したほか、国内で10万件超の症例が確認されています。赤十字国際委員会(ICRC)のオペレーション責任者ホセ・ルイス・ポゾは 、「紛争が2年以上続き、インフラの破壊によってコレラが拡大しました。数百万人もの人びとが安全な水、医療支援、その他生活に必須な支援を得られないまま取り残されています」と述べています。

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限界に達した脆弱な医療制度

紛争の影響を受けた地域にある医療施設の約80%は、機能不全に陥っています。アル・ジャジーラ州アル・バシュラガにあるアル・ジャジーラ東病院では、コレラの軽症・重症患者に対し、経口補水液や点滴投与による治療を行っています。

限界に達した医療制度がコレラの流行によって、さらに逼迫しています。「水様性下痢を訴える人が増えており、職員は大きなプレッシャーを感じています。より多くの患者を受け入れられるよう、センターの収容効率と対患者の診察強化に努めています」と、ガダーレフ州保健省の緊急・感染症対策局アッバス・ムバラク副局長はいいます。

重度の脱水症状と腹痛で入院したある住民は、「兄と一緒にコレラ治療センターに入院しました。医療スタッフは治療のためにできる限りのことをしてくれました。初めてのコレラ感染でしたが、この病気の恐ろしさを知っていたので自分がどうなってしまうのか恐怖でいっぱいでした」と話しました。

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被害甚大地域におけるICRCの対応

ICRCは、コレラと栄養不良の影響が顕著なハルツーム州、ガダーレフ州、北ダルフール州、東ダルフール州、センナー州の緊急対応に注力しています。私たちがこれまでに支援した医療センターと緊急対応チームによって、約18000人の患者が治療を受け、新症例の早期発見体制も強化されました。

スーダン赤新月社および地元保健当局と協力し、ICRCは北ダルフール州タウィラの避難民約82000人に対し、衛生キットの配布、安全な飲料水へのアクセス確保、啓発キャンペーンの実施、感染拡大を防ぐための消毒活動を含む支援を行いました。

「喫緊の状況に変わりはありません。雨季が迫り、新たな症例の発生リスクが高まっています。迅速な行動と連携が不可欠です」とオペレーション責任者ホセ・ルイス・ポゾは加えました。

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市民と重要インフラの保護

安心して健康な生活を送るため、安全な水、医療、電力は絶対に欠かせません。ICRCは、すべての紛争当事者に、民間人および重要インフラの保護に関する国際人道法上の義務を呼びかけます。

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