紛争地医療の現実と、ロボット・AI技術の可能性 ―セキュリティロボティックス研究会ワークショップ参加報告―

イベント
2026.01.30
ICRC, AI, discussion, Dr. Ando

©ICRC

2026年1月19日(月)、早稲田大学にて「セキュリティロボティクス研究会ワークショップ ―ロボット・AI技術を活用した紛争地帯における人道支援を考える ―」が開催され、赤十字国際委員会(ICRC)の整形外科医・安藤恒平が登壇しました。

セキュリティロボティクス研究会とは

パンデミックや犯罪、紛争などの脅威が高まるなか、警備・消防・国家安全保障分野では、ロボットやAIを活用した人びとの安全を守る仕組みづくりが求められています。こうした背景を踏まえ、技術的な課題のみならず倫理や法制度上の課題を検討し、社会実装の可能性を探るため設立されたのが、産官学連携のセキュリティロボティクス研究会です。

紛争地における医療の課題とその実態

安藤より、紛争地での医療活動の経験をもとに、脆弱な社会インフラで医療サービスを提供した事例の紹介がありました。電力供給や通信網など基本的な生活インフラが不安定な環境下では、医療の再現性と持続可能性が大きな課題となります。例えば、患者データを電子的に扱えず手作業で入力する場面では、患者情報の記載ミスが発生しやすくなります。また、新たな医療技術の導入をするだけではなく、現地の医療従事者が使いこなせるような支援を行うことが重要です。

次いで、早稲田大学の澤田教授が、ICRCと早稲田大学が共同で取り組んできた最新技術を活用した地雷探知システムについて発表を(地雷探知システムの概要はこちらから)、東京大学の淺間一特任教授が、さまざまな人道支援現場で活用されているロボットの具体例を紹介しました。

ICRC, AI, Discussion, Dr. Ando

©ICRC

パネルディスカッション「紛争地帯に存在する課題に対するロボット・AI技術の可能性」

パネルディスカッションでは、澤田教授、淺間特任教授、安藤が登壇し、紛争地帯に存在する課題に対しロボット・AI技術の可能性について議論を深めました。活発なディスカッションのなか、ロボット技術を活用した情報の取得・管理および物資の搬送や作業支援による医療従事者の負担軽減について期待する声が寄せられました。一方、こうした電子技術の活用における安定的な電源や通信環境の必要性、そして右課題によるロボット・AI技術を常時活用する難しさについても指摘がありました。
ディスカッションの最後には、ロボット開発に携わる技術者と人道支援を行う実務者による継続的に対話の必要性、そして双方が現場で真に求められているニーズを理解・共有することの重要性が、改めて確認されました。