【シンポジウム開催報告】「現場活動に垣間見る国際人道法-人々の救済に挑んで150年-」国家の責任と赤十字の役割

2014.02.20
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開会の辞を述べるドゥーリグ在日スイス大使館公使© ICRC/Hitomi Homma

本シンポジウムは、赤十字国際委員会(ICRC)と最初のジュネーブ条約の誕生、そして、日本とスイスの修好通商条約締結から150年を記念して開催された。戦場での敵味方の区別ない救援活動を掲げて、赤十字の最初の機関としてICRCがスイスに創設されて一世紀半。世界各地では今も戦闘が繰り広げられ、一般市民が巻き添えになる事態が後を絶たない。

こうした現状を受けて本シンポジウムでは、人々に不必要な痛み・苦しみを与えないために戦闘の手段や方法を規制している国際人道法(IHL)に焦点を当て、スイス大使館、ICRC、京都大学の共催で開催。特に「紛争下における新しい兵器の使用」や「紛争当事者によるIHLの遵守」など、昨今話題のテーマを取り上げ、スイス、日本、ICRCの専門家を交えて、戦時における赤十字の役割と人道危機の打開に向けた国際社会の責任が議論された。

 

当日は、アカデミックス、メディア、省庁、日本赤十字社等から100名近くの参加があり、関心の高さが伺えた。

 

ドゥーリグ在日スイス公使とニコICRC駐日代表による開会の辞でシンポジウムがスタート。ニコは、シンポジウム当日の2月3日が駐日事務所開設5周年にあたったため、これまでのご協力・ご支援に感謝を述べるとともに、デュナンが唱えた赤十字運動の歴史と現代の紛争における国際人道法の役割、特に大きな問題になりつつある性暴力への対応が喫緊に必要であると説明。

 

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紛争当事者による国際人道法の遵守について議論する登壇者© ICRC/Hitomi Homma

続く第一セッションでは、紛争当事者による人道法の遵守について各登壇者が発表。第31回赤十字・赤新月社国際会議のフォローアップとして国際人道法の順守を強化するために始まったICRCとスイス政府のジョイント・イニシアティブ、シリアでの化学兵器使用を例に人道法違反があった場合の紛争当事者以外の第三者が取るべき対応等が議論された。また、新美国連担当大使が紛争下の性暴力について話し、戦時の女性の権利問題についてICRCと今後情報交換しながら協力していくと語った。