ウクライナ危機:犠牲を強いられている人々の支援に力を尽くす

2014.10.31
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ドネツク地方で市民が食料や生活必需品を受け取る様子 ©ICRC

 

ウクライナ東部では停戦が合意されたにもかかわらず、無差別爆撃や安全を脅かすような事態が起きていて、一般市民が危険に晒されています。冬が近づくなか、地元住民と国内避難民を取り巻く環境は悪化の一途をたどっています。赤十字国際委員会(ICRC)は、紛争の影響を受けた人々への支援に力を尽くしています。

 

「10月2日にドネツクで起きた私たちの同僚の悲劇的な死は、ウクライナ東部に住む一般市民が向き合っている現実を反映しています」とICRCヨーロッパ及び中央アジア担当事業局長のローレン・コルバスは話します。「人道支援活動と職員の安全確保を両立させるために、私たちは活動を一時中断しなければなりませんでした。この数週間で、徐々に活動を再開し、ハリコフやルガンスク、ドネツクに避難用具を届け、医療支援を行っています」

 

最も戦闘が激しかった地域では、住宅の損壊が広範囲に及んでいます。この地域の冬は厳しいため、家に防水及び防風対策を施す必要があり、私たちは、ガラスやセメント、屋根材の導入を検討しています。

 

給水システムも破壊されていて、修理が必要です。戦闘に巻き込まれ損壊した病院もあるため、人々が治療を受けられるようにすることが私たちの優先事項となっています。ICRCは、障害を負ったり、自宅へ戻ることが出来ない人、高齢者、子ども、そして紛争により様々な形で傷ついた人々に対する支援計画を策定しているところです。

 

ICRCの代表部はキエフに、事務所はハリコフや、ドネツク、ルガンスク、セべロドネツク、マリウポリ、オデッサにあり、紛争の影響を受けたウクライナ東部での活動を拡充しています。ウクライナ国内で活動する職員は、140人以上に上ります。

 

私たちは、国内避難民と地元住民の生活基盤を維持するために支援を展開するだけでなく、紛争当事者に対し、戦闘に参加していない人々を保護し、傷病者には彼らが必要とする医療を受けられるよう保障してほしい、と訴え続けています。

 

9月中旬以来ICRCは、ザポリージャや、オデッサ、ポルタヴァ、ハリコフ、キエフにあるウクライナ政府当局下の収容所を訪問し、被拘束者の待遇や状況をモニターしています。また私たちは、ドネツクとルガンスクにいる被拘束者の訪問の実現についても、引き続き求めていきます。被拘束者を同時解放する際には、中立な立場で仲介役を務める用意も整っています。

 

 

10月の主な活動

 

ICRC

  • ドネツク地方にいる約1000人の地元住民と国内避難民に対して、食料とその他の物資を提供しました。
  • ハリコフとマリウポリにいる9000もの国内避難民の家族に対し、地元の商店で利用可能な現金引換え券を配付しました。
  • ルガンスクの水道会社に対し、被害を受けた上水・下水システムを修理するための溶接機器を提供しました。
  • ドネツク地方で被害を受けたアパートの窓ガラスを修理するために、1000平方メートルのガラスを供給しました。
  • ルガンスクとドネツクの病院に、数百人分の医療品を届けました。
  • ウクライナ東部で軍事活動に加わった56人のウクライナ兵士に対して、2回のワークショップを開催しました。
  • ウクライナ赤十字社と協力して、ウクライナ東部からロストフ地方とコーカサス北部に逃れてきた避難民を支援しました。
  • 紛争により避難を余儀なくされた約3万人を援助しているクリミアの現地赤十字社を支援しました。

 

詳細は、ジュネーブ本部ウェブサイト(英語)をご覧下さい。