戦時下にいる人々の「命」と「尊厳」を守って150年
ジュネーブ (ICRC) 2月17日、赤十字国際委員会(ICRC)は設立から丸150周年を迎えます。私たちは一世紀半にわたり、戦闘行為の犠牲になってきた無数の人々に寄り添い、その生命と尊厳を守るために活動してきました。現在はシリアをはじめ、マリやコンゴ民主共和国など多くの国で、戦時下でもがき苦しむ人々に救いの手を差し伸べるべく、あらゆる人道危機に決然と立ち向い、その使命を全うしています。
「グアンタナモの収容所訪問やコロンビアにおける人質解放への関与、またアフガニスタンの人々に対する医療機関への安全なアクセスの確保、コンゴ民主共和国での水・電力の供給支援、クラスター弾禁止条約の締結の促進など、人々に直接的かつ永続的な影響力をもたらす活動が多いのが、私たちの特徴です」と語るのは、ICRC総裁のピーター・マウラーです。「150年という節目の年に、過去の活動をきちんと検証すると同時に、紛争など戦闘行為の被害を受けた何百万もの人々に寄り添ってきた私たちの活動の強みを知ってもらう機会にしたいと思っています」
「現場は今、新たに開発された兵器やテクノロジーが使用され、武装グループがどんどん増え、助けを必要としている人たちに辿り着くのが困難な状況に陥っています」とマウラーは続けます。「私たちは、助けを必要とする人々の下へと導いてくれる道を、様々に模索する必要に迫られています。組織の理念である”中立・独立・公平”を保ちながら、全ての人たちにICRCの活動を理解してもらい、また受け入れてもらえるよう、これまで以上に努力を重ねていきます」
ICRCや他の人道支援組織が直面している今一番大きな問題は、国際人道法が遵守されていないことです。国際人道法は、戦闘に関与していない子どもや傷病者、収容所に拘束された人々への暴力を禁止しています。マウラーは、「民間人を守るのだという政治的な強い意志が、かつてないほど必要とされています。国家であろうが、武装グループであろうが、国際人道法を尊重しなければなりません」と訴えます。
「赤十字を生み出したアンリー・デュナンのビジョンは、発展しながら脈々と受け継がれています。この一世紀半、政変や金融危機、文化の壁など数え切れないほどの障害にICRCは立ち向かってきました。暴力の犠牲となっている人々を守り、彼らが生き抜くために必要な支援を届ける私たちに対する攻撃もありました」と、マウラー。戦闘の形が多様化している昨今、人道支援活動は多くの問題に直面しています。「(各国にある赤十字社・赤新月社など)国際赤十字運動を構成するパートナーをはじめ、多様な援助機関とともに問題を解決していかなければなりません。それぞれの組織の取り組みを把握したうえでより調整を図り、助けを求める人たちの声にもっと耳を傾ける必要があります。しかも、現地の人々が主体的に行動する機会を与えなければなりません。生活や社会システムが立て直されても、最終的にそれらを維持するのは彼らだからです」
150年前、数人のスイス人が立ち上げたICRCは、現在90以上の国々で約13,000人の職員が活動するまで拡大、職員の国籍も100を超える国際組織となっています。活動資金の9割以上はジュネーブ諸条約に加入した政府から拠出されていて、なかでも日本政府からは、紛争地で活動する私たちのために長年にわたり多大な貢献がなされています。
今後一年間は、さまざまな150周年関連イベントを予定していますので、随時ご案内いたします。
こちらのニュースリリースに関する映像を配信しています⇒ www.icrcvideonewsroom.org
(無料で一度のみダウンロード可能、放送に耐えられるクオリティーとなっています)
150年周年特設ウェブサイト⇒ http://www.icrc.org/eng/who-we-are/history/150-years/index.jsp
本件に関するお問い合わせはこちら:
赤十字国際委員会(ICRC)駐日事務所
広報/眞壁仁美
電話:03 6459 0752
メール: hmakabe@icrc.org
駐日事務所ウェブサイト:http://www.jrc.or.jp/ICRC/
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