イラク:全てを失った人々への支援を拡充
バグダッド/アルビル/ジュネーブ – 赤十字国際委員会(ICRC)の総裁であるペーター・マウラーは、6日間のイラク訪問の最終日に、イラクの国内避難民と彼らを受け入れているコミュニティに対する支援を拡充する、と表明しました。
今回の訪問で、執拗な紛争で避難生活を余儀なくされ、財産の喪失や厳しい冬の寒さに苦しむ避難民の現状を目の当たりにしたマウラーは、食料や他の支援物資をICRC職員とともに届け、避難民に清潔な飲料水を提供する施設を訪問しました。
「家を突然奪われ、愛する人と離ればなれにならざるをえなくなった家族の話を聞きました」とマウラーは話します。「イラク人には、暴力から逃れるために家を後にしてきた何千もの同じイラク人を助けたい、という強い思いがあることが分かりました。避難民を支援するために私たちが現地入りしたときには、すでに地元のコミュニティが彼らを暖かく迎え入れていました。しかし、避難民の苦しみと受け入れコミュニティの負担を軽減するためには、食料や水、医療、避難場所といった基本的なニーズを私たちが満たしていかねばなりません」。
今回の訪問中マウラーは、バグダッドとアルビルの政府高官とも会談。バグダッドでは、フアード・マアスーム大統領をはじめ、ハイダル・アル‐アバーディ首相やサリーム・アル‐シャブリ国会議長と、アルビルでは、クルド自治政府のマスード・バルザニ議長やネチルバン・バルザニ首相といった高官と対話の場を持ちました。
これらの会談のなかでマウラーは、紛争の影響を受けている地域で、人道支援要員が直面している課題について触れました。「会談では、軍や治安部隊による国際人道法の遵守を促し、一般市民を暴力から守っていくという発言があり、勇気づけられました」とマウラーは語ります。
また、バグダッドで収容所を訪問したマウラーは、「被拘束者の尊厳を尊重しなくてはなりません」とも話します。「私たちは、収容所の環境が国際基準に則っているのか、また被拘束者は家族と連絡を取ることができているのか、などを確認するために、収容所訪問に力を入れていく用意があります」。
イラクでの活動規模は、ICRCのなかで4番目に大きく、2015年の予算は91億8762万円*(7600万スイスフラン)に上ります。私たちの活動予算の3分の1は、中東での支援活動に振り分けられています。
*1スイスフラン = 120.88974855円 (2015年1月現在)
原文は本部サイト(英語)をご覧ください。