コンゴ民主共和国:152名の元子ども兵士が家族と再会
コンゴ民主共和国の東部に位置する北キブ州、南キブ州、及びオリエンタル州に住む家族は、離ればなれとなっていた子どもとの再会を果たしました。その中には、数カ月あるいは数年にわたり、子どもとの再会を待ち望んでいた家族も含まれます。147人の少年と5人の少女は、最近まで、全員が軍や武装グループに所属していました。
「自発的または強制的な子どもの徴兵は、この国に蔓延している問題です」とICRCで文民保護活動を行うタンヤ・シセは話します。「そのような徴兵は、国内法及び国際法で禁じられています。これは、多くの人に理解してもらわなければならないことです」。
子どもは強制的に徴兵される場合もありますが、ほとんどの場合は、自発的に武装グループに参加します。それは生き残る手段であり、また、彼らのコミュニティーのかたきを討ち、コミュニティーを守るためでもあるのです。彼らは紛争の最前線に送られたり、コックや守衛、使い走り、偵察兵、スパイ、性的奴隷(特に少女の場合は強制婚姻)として利用されます。
このような定住地を持たない暴力的な生活スタイルには、外傷(深刻な身体障がいを引き起こすものもある)や妊娠、教育や医療の欠如、精神的苦痛、拘束、コミュニティーからの拒絶など、多くの犠牲が伴います。「子ども時代や10代に戻るのは、とても困難です」とシセは語ります。「私たちは、彼らが家族との生活に戻れるよう支援し、彼らが再び徴兵されることのないように努めなければなりません」。
コンゴ民主共和国の最南端に位置するカタンガ地方の都市カミナでは、152人の子どもが、国の慈善団体APEDEが運営する施設に居住しています。私たちは、家族の行方を追跡する上で必要な情報を集め、彼らがコミュニティーに次第に戻っていけるように、子どもたちを支援してきました。
若手職員は、啓発活動を通して、徴兵の犠牲にならないためには、拒否することが大切だと子どもに説きます。これは、彼らが社会に戻る上で重要なことです。「この施設を運営する子ども保護機関のメンバーとともに、私たちは、グループあるいは一対一で、子どもと数日かけて話し合いました」とコンゴ民主共和国東部で、子どもの保護を担当するICRCのマリー・ジュネビエーブ・ナイチンゲールは話します。「ゲームやダンス、ディスカッションを通して、家族のもとに無事戻るためにすべきこと、そして自発的であれ強制的であれ、再び徴兵される危険性について考えさせます」。
子どもの家族を探すために、私たちは、赤十字社のボランティアと協力し、車やバイク、自転車あるいは徒歩で、ときにはへき地まで長距離を移動します。2014年7月と8月、ICRCは、政府の武装解除プログラムの一環として、軍や他の武装グループに参加していた99人の子どもを家族のもとに帰しました。彼らは、カミナ軍事基地からICRCの専用機で、家族の待つコンゴ民主共和国の北東部に向かいました。
「子どもが戻ってくることを拒む家族もあります」とナイチンゲールは話します。「子どもの行動が変わらないであろうこと、または彼らが過去に犯した暴力行為のため、コミュニティーから拒絶され、汚名を着せられるであろうことを恐れているのです」。
ICRCは、この問題を解決しようと力を尽くしています。子どもが戻ってくる家族が住む村で対話の場を設け、村人が、何でも話し合い、子どもの社会復帰に長期的に関われるように働きかけています。徴兵の危険性を気づかせるためのゲームや訓練は、地元の赤十字社に所属する若手のボランティアと共同で行われます。子どもが家へ戻って3カ月後、全てが順調に進んでいるかを確認するため、私たちは家族のもとを訪れます。家族とあらかじめ相談した上で、子どもたちは、年齢によって学用品や小規模ビジネスを始めるための支援を受け取ります。こうすることで、コミュニティーとの繋がりが少しずつ築かれるのです。
コンゴ民主共和国で実施した離散家族の再会・連絡回復支援(2014年)
- 800人以上の子どもとその家族を再会させました。(軍や他の武装グループに加わっていた約300人の子どもを含む)
- 家族と再会させるために、30人の子どもを他国から送還しました。
- 赤十字社のボランティアとともに、家族のもとに戻った400人以上の元子ども兵士を訪れ、彼らが家族やコミュニティーに順調に馴染んでいるかを確認しました。
- 4万6000通以上の赤十字通信(個人的な近況を書いた手書きの手紙)を受け取り、そのうち約4万2000通を届けました。
2014年末時点で、家族のもとに戻ることを希望し、ICRCが把握している子どもの数は576名に上っています。彼らは、移行支援センターやホストファミリーのもとで生活しています。
原文は本部サイト(英語)をご覧ください