【インタビュー】シリア:深刻な人道危機

2015.02.03

シリア・ダマスカスで赤十字国際委員会(ICRC)の首席代表を務めていたボリス・ミシェルが、現状について語るインタビュー映像。4年にわたる紛争で、給水網や食料生産チェーンといった主要インフラは崩壊しました。支援を必要としている人々へのアクセスは改善されてきているものの、人道面での課題は引き続き山積しています。


(以下、インタビュー映像の和訳)

シリアの状況は、悪化の一途を辿っています。4年にわたる紛争は、一般市民に大きな影響を及ぼしています。経済活動は停止し、人々は高いインフレに苦しんでいます。これまでの仕事に就くことができず、失業率は上昇しています。私たちは、紛争が引き起こしたこのような事態に対応すべく、力を尽くしています。給水網をはじめとするインフラを立て直し、食料を配付し、収入の機会を創出するためコミュニティーに根差したプロジェクトを実施しています。住宅の多くが崩壊しているため、避難民にはシェルターを提供しています。このような支援を行うなか、中立かつ公平、独立した人道支援組織として、紛争当事者から受け入れてもらうことが、私たちの課題です。

 

私たちは、私たちが最も必要とされている場所で活動を展開しています。そのため、時には紛争の最前線にも赴きます。苦痛を強いられている人々へのアクセスは、改善されてきていると思います。人道ニーズが拡大し、インフラも崩壊しているというメッセージを、あらゆるところで発信してきました。この紛争でシリアが受けた影響は、今後も中・長期的に続くでしょう。今手を打たなければ、将来、状況がさらに悪化するということは、紛争全当事者も理解しています。

 

シリア・アラブ赤新月社との協力関係は、私たちにとって非常に重要です。私たちは、赤新社hならびに水道局と連携し、紛争の最前線におかれた一般市民150万人に水を供給しています。また、給水が止まらないよう、薬品や発電機といった機器も活用しています。

 

医療サービスも危機的な状況にあります。国際人道法で保護の対象とされている医療従事者や施設が、攻撃される事態が後を絶ちません。病院へのアクセスが妨げられると、次世代にも影響が及ぶため、このような事態は改善されなくてはなりません。政治的な解決はまだ見られません。和解への努力は、ゆっくりと少しずつですが進んでいます。しかし、政治的安定がもたらされる前に、解決すべき問題が山積みです。行方不明者や被拘束者の問題もしかりです。これらに対応することが、和解と平和構築への第一歩となると考えています。