かつてないほどの人道危機に対応するため、過去最大の活動資金を要請

2016.01.23

ジュネーブ(ICRC)-赤十字国際委員会(ICRC)は、2016年の人道支援活動資金として、17億スイスフラン(2030億3100万円)の拠出をドナー各国に呼びかけました。世界中で高まる人道ニーズに応えるため、過去最大の要請額となりました。

 

「私たちは今、第二次世界大戦以来、最大の難民危機に直面しています」とICRC事業局長のドミニク・シュティルハルトは話します。

 

「武力紛争の影響は様々なかたちで現れます。シリアの人々は食料や水を手に入れるために奔走し、南スーダンの子どもは家族と離ればなれとなり、イラクでは傷病者が緊急医療を必要としていて、イエメンでは医療従事者が命を危険にさらして患者の治療にあたっています」と続けるシュティルハルト。

 

「今年もこれまで同様、緊急に支援を必要としている人々に寄り添い、彼らの苦痛を少しでも和らげることに力を注いでいきます。と同時に、コミュニティが紛争の爪痕から立ち上がり、自立できることを目指した長期的なプログラムを実施します。例えばナイジェリアでは、地元の機関と協力して夫を亡くした女性に対する少額融資を行っています。このプログラムにより、彼女らは自分で小規模なビジネスを営み、自活できるようになってきています」。

 

私たちの活動資金の大部分は、ドナー各国の拠出金で支えられていて、2016年の資金の半分以上が活動規模上位10カ国に配分されます。この10カ国は規模の大きい方から順に、シリア、南スーダン、イラク、アフガニスタン、ソマリア、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、ウクライナ、イスラエル・パレスチナ自治区、そしてイエメンとなっています。また資金の70%以上がアフリカと中東での活動に向けられます。

 

ICRCの組織としての優先事項として、「医療従事者や患者、医療施設が攻撃されないよう、保護していくことが課題となります」とシュティルハルトは話します。また、性暴力の被害者に対する包括的な対応の推進にも優先的に取り組んでいきます。

 

「私たちの活動は、日本政府を初めとするドナー各国の支援に支えられています。医療施設への攻撃や紛争下の性暴力など、複雑化する人道危機に対応するためには、ドナーからの協力が欠かせません。紛争の現場では、日本人の同僚が活躍していて、今後より多くの日本人が職員となり働いてくれることを願っています」とICRCの駐日代表を務めるリン・シュレーダーは話します。

 

現場では1万4000人以上の職員が各国の赤十字・赤新月社と協力して、武力紛争やその他の暴力を伴う事態に巻き込まれた人々に支援を届けています。

 

「中立で公平かつ独立という立場を貫いているからこそ、他の組織が撤退しても私たちは現場に留まり、人々に支援や希望を届けられるのです。そしてそれを可能にしているのは、ドナー各国のご支援があるからなのです」とシュティルハルトは締めくくりました。

1スイスフラン(CHF)= 119.43円(2015年12月現在)

 

2016年人道支援活動資金の要請内容はこちらをご覧ください。