インド:2015年には1370万スイスフラン(15億9687万円)相当の救援物資に調達先に

2016.04.05
1370万スイスフラン(15億9687万円)もの支援物資の調達先となったインド

1370万スイスフラン(15億9687万円)もの救援物資の調達先となったインド© ICRC

 

支援を必要とする人々のため、数百トンの米を乗せ、ある国から2500マイルも離れた別の国へと移動する人道支援輸送車輛隊を想像してください。これは、武力紛争で極めて困難な生活を強いられているシリアの人々に物資を届けるため、インドのニューデリーにあるICRCの地域代表部が、450トンもの米をインドの西ベンガル州バルドワンから購入し、運んだ時の様子です。

 

インド市場は、ICRCが世界規模で行う人道支援に必要な物資を調達する上で極めて重要です。たとえば、私たちは2015年だけで、95カロールルピー(およそ1370万スイスフランまたは15億9687万円)に相当する救援物資をインドから購入しました。

 

購入するものは、毛布や敷き布団、蚊帳、補助食、治療食です。興味深いことに、こうした物資はインド国内のあらゆる地域から調達されており、ICRCの物資調達の一拠点としてインド国内の多様性を物語っています。

 

毛布は主に北インドのパンジャブハリアナから調達するのに対し、敷き布団は西インドのマハラシュトラから、蚊帳は南インドのタミール・ナードゥから購入しています。こうした物資は、主に私たちが重点的に活動するシリアやイラク、南スーダン、中央アフリカの4地域に配付されます。下図は、2015年にインド市場から購入した上位五品目とその配布地域を示したものです。

 

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戦略的に重要度が高い場所に位置し、高品質な製品が生産できるため、中東やアフリカ諸国といった私たちが活動を展開する国や地域で必要な救援物資を調達する上で、インドが非常に有効なのです。これは、ひとたび人道危機が起きると、インドからすぐに緊急支援物資を調達できることを意味しています。インドを含む様々な市場から調達された物資は、全て厳しい検査を受け、ICRCの厳格な倫理及び環境基準を満たさなければなりません。その後、供給する企業がICRCと長期契約に至るまでには、ラボ分析を経る必要があります。下表は、調達プロセスを詳細に説明したものです。

 

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ニューデリーにあるICRC地域代表部でアジアでの調達を統括するロドニー・ギャルウェイによれば、「インド市場は今まさに成長しています。ICRCがインドから救援物資の調達を開始した2009年から、国内の中小企業は着実に成長しており、私たちの調達に一役買っています」。

 

実際、インドからの物資の調達は毎年10~15%の割合で増えており、今後もICRCの調達活動において重要な役割を果たしていくことが期待されています。「低賃金であるにもかかわらず高品質が保たれるため、インド市場は、企業にとっても利益を見出しやすく魅力的なのです。さらに、私たちが頻繁に購入する敷き布団や補助食、治療食などのニッチな産業が発達していることも、インドを魅力的な市場にしています」と続けるギャルウェイ。

 

こうした発言は、私たちの活動に必要な救援物資の調達先に、中国と同じようにインドも重要となってきていることを裏付けています。

 

1フラン=116.56円(2016年4月現在)

 

原文は、本部サイト(英語)をご覧ください。