ICRC 離散家族の再統合を支援するウェブサイトを新設
ジュネーブ(ICRC)?毎年、何千もの家族が紛争・自然災害・移住により離れ離れになっています。
離散した家族の再会・連絡回復を支援する「ファミリーリンク・ウェブサイト」
familylinks.icrc.orgを今月13日に開設しました。
ICRCの中央安否調査局と保護部門の副代表を務めるOliver Duboisは「ファミリーリンクは、散り散りになった家族を探し求める人々に、これまでとは違う捜索方法を提供します」と話し、「家族との連絡は、人々の健康と逆境に耐える力に大きな影響を及ぼします。私たちは各国赤十字社・赤新月社とともに、紛争時や災害時、あるいはその後に離散した家族と再びつながれるよう、シンプルで使いやすいウェブサイトに仕上げました。数回クリックするだけで、専門家にアクセスできます。彼らは、一人一人のケースに対して真摯に取り組み、問い合わせに応じます。」
武力紛争、暴力行為、自然災害、貧困、その他の困難な状況。家を離れる理由がなんであっても、避難することで愛する人と引き裂かれます。世界中にネットワークを持つ赤十字・赤新月の職員とボランティアは、苦しみの理由が何であれ、人々の尊厳が失われることなく、周囲からは配慮と思いやりをもって接してもらえるよう努めています。
Duboisは「新しいサイトの特徴は、適切な技術と、赤十字・赤新月が有する独自のネットワークの組み合わせです。私たちは現場のボランティアからなる草の根レベルの人脈を有しています。ボランティアは事実上世界のほぼ全域で活動しており、行方不明者の捜索に力を入れています。このようなサービスを提供する組織は他に存在しないでしょう」と説明しています。
草の根レベルの人脈が活かされた実例として、1968年に故郷のリビアを離れ、スイスに定住した男性の話が挙げられます。Al Naji氏は何十年もの間、家族や友人との接触を完全に閉ざされていました。Naji氏は今年、ICRCとスイス赤十字社の支援により、リビアに住む家族と連絡を取り再会を果たすことができました。リビアの地に降り立ち感情を抑えきれなくなったNaji氏は「43年ぶりに家族と再会できるなんて、まるで新しく生まれ変わったような気持ちです」と話しました。
「今後より多くの人々が、どんなサービスが利用でき、どう活用できるのかを知ることができるでしょう。行方不明者の手掛かりを探す人の数も増えると考えています」とDubois。新しいファミリーリンク・ウェブサイトを使えば、世界中で利用可能な安否調査サービスをはじめ、各国赤十字社・赤新月社やICRC代表部の連絡先など、有益な情報を得ることができます。ファミリーリンク・ウェブサイトの目的は、行方不明者を探す人々への情報提供が主ですが、同様の問い合わせを受ける人道組織や福祉事業者にとっても役立つサイトとなっています。また、追跡調査をする専門家同士の情報交換の場として活用されることも期待されます。
国際法のもとでは、すべての人々が行方不明になった親族の消息を知る権利を有します。離散した家族の居場所を探し出し、連絡を再開し、再会を実現するために、必要に応じて実行可能なすべての策が講じられなければなりません。
ICRCは1996年、ボスニア紛争をきっかけに、離散家族を対象とした専用ウェブサイトを立ち上げました。その後ICRCは23回にわたり臨時で同様のサイトを開設しています。最近では、東日本大震災が発生した直後に日本語でも利用できるようにしました。私たちのこうした取り組みによって、長年にわたり数え切れない人々が家族との絆を取り戻しています。
Naji氏のインタビュー映像はこちらでご覧いただけます。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。