「武力紛争下での医療への脅威」に関する専門家会議を開催
ロンドン 武力紛争下で医療行為が攻撃・妨害されていることに関して、各国の医療関係者が参集し会議を開きます。医療への攻撃は、重大でありながらもあまり知られていない人道問題で、同会議は、本件に関する初めての国際会議となります。
4月23日、ロンドンで「武力紛争下での医療への攻撃」に関する会議を開催します。同会議は、武力紛争時や危険時に、安全かつ効果的に医療を行うことを阻害する諸問題―危険な活動環境、暴力行為およびその脅威―に取り組む四年間のプロジェクトの一環として行われます。会議では、紛争によって負傷者が治療を受けられなかったり、病院が閉鎖されることにより、負傷者や病人が死亡する事態が発生していることに対する改善措置を話し合います。今後世界各地で予定されている専門家会議の第一弾となります。
ICRCの調査報告によると、爆撃や銃撃といった直接的な暴力によって死亡する人よりも、救急車到着の遅延、治療の妨害、病院への攻撃、治療を行えないほど危険が迫っている状況など、医療に対する妨害行為のために負傷者の治療が不可能になり、そのために死亡する人の方が多いことが判りました。
アフガニスタンでは救急車が自爆テロに使用され、リビアでは病院とはっきり分かるマークがついた建物が爆撃されました。イラクでは武装兵士が緊急治療室に入り込み、ソマリアでは医師が殺害され、コロンビアでは救急車内で患者が殺害されるというケースがありました。
ロンドンでの会議には、100人以上の医療関係者や人道専門家が集まり、医療行為を安全な環境で行えるように、各国政府および国際組織へ協力を求める提言書を発表する予定です。併せて同会議では、武力紛争地で働く医療関係者が、現場で国際法違反を目の当たりにするというジレンマをどのように乗り越えていくかについても、話し合う予定です。
同会議は、ICRC、英国赤十字社、英国医師会、世界医師会が共催しており、後日成果と提言が発表される予定です。
今回の医療関係者者の役割に焦点を置いた会議に続き、今年度中に他のイベントも開催予定です。今後は、軍事関係者、武器を扱う人々、市民代表者、各国赤十字社・赤新月社、政策担当者へも呼びかけ、危険な環境下で医療の安全を脅かす問題に取り組んでいきます。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。