ICRCの活動:4つの柱

  • 支援

    助けを求める人を公平に支援する

    紛争地域では、戦闘に巻き込まれ、いつ終わるのかわからない暴力に苦しめられている一般市民が数多くいます。インフラや生活の基盤が破壊され、職や家を失い、最低限度の生活を維持するのも困難となります。具体的な支援としては、食料や生活必需品の配付、少額融資や職業訓練などを通じた生活の自立支援、医療や水・衛生環境の整備、障がい者のリハビリテーションなどが挙げられます。紛争現場では迅速な対応が必要となるため、ICRCは世界各地に人と物資の輸送体制を整えて有事に備えています。

  • 保護

    一般市民の被害や苦しみを最小限に抑えるために

    紛争地域では、戦闘に参加していない一般市民が、武力攻撃に巻き込まれ、凄惨な事態に発展することが多々あります。そうした人々を守るのもICRCの大切な仕事です。
    戦闘の混乱によって離散した家族の再会支援や、行方不明者の追跡調査に加えて、ICRCならではの活動として、収容所への定期的な訪問があります。国際人道法の守護者・番人として、戦争捕虜や被拘束者への拷問や虐待を防ぎ、人道的な処遇を受けているかをモニタリングします。定期的に訪問することで被拘束者の処遇の実態や消息の把握が可能となり、施設内に問題を発見した場合は状況の改善を当局に促します。憎しみがさらなる暴力を生むといった負の連鎖を断ち切ることもICRCの重要な使命なのです。

  • 連携

    赤十字パートナーとともに傷ついた人々を敵味方の区別なく救う

    創始者であるアンリー・デュナンが唱えた赤十字思想「傷ついた人々を敵味方の区別なく救うこと」は、ICRC、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、そして各国の赤十字、赤新月社の3つの機関によって受け継がれています。この3つの機関を総称して「国際赤十字・赤新月運動」(赤十字運動)といいます。
    紛争地域で災害救援や医療支援を行う場合、赤十字運動のパートナーと連携します。また、国際人道法の普及や離散家族の再会支援、物資配付なども、現地の言語や土地勘、事情に長けている赤十字、赤新月社のスタッフやボランティアとの緊密な連携が欠かせません。

  • 予防(国際人道法の普及)

    行き過ぎた戦闘行為を防止し、民間人に被害が及ばないようにする

    ICRCは、無差別兵器の使用禁止などを定めた国際人道法の尊重を交戦中の関係当局に呼びかけ、一般市民の被害を最小限に留めるよう努めています。戦闘員ではない一般市民を多く巻き込む無差別殺戮の可能性を秘めた兵器の使用は国際法違反です。ここでいう予防とは、戦争や戦闘行為そのものを予防することではなく、紛争当事者の行き過ぎた行為により民間人の被害が出ないよう予防することを意味します。
    ICRCは、国際人道法を普及することで、そうした被害の予防に努めます。軍隊や武装警察、武装グループなどはもちろん、大学生など将来を担う若者も対象となります。また、冷戦後は内戦が多発し、一般市民による人道法違反も多発しているため、一般的で広範な普及教育も重要となってきています。各国の教育当局や諸機関に対しても人道法を教えるカリキュラムの作成補助および導入を促進するなど、技術面でのサポートも行っています。