フィリピン台風支援:現地リポート1 医療支援
昨年12月4日、大型台風がフィリピン南部を襲いました。
フィリピン台風支援のため、現地で活動を続けてきたICRC広報官のリポートを以下の内容でご紹介していきます。
現地リポート? 医療支援
現地リポート? 安全な水と衛生環境の整備
現地リポート? 緊急支援と生活再建
2013年1月3日、フィリピン・ミンダナオ島東部の東ダバオ州バガンガに、赤十字の仮設診療所「Basic Health Care Unit(ベーシック・ヘルスケア・ユニット)」がオープンしました。
昨年の12月4日にミンダナオ島を襲った巨大台風ボーファ。まるで大きな竜巻か津波に襲われたかのように、現地ではココナツツリーからコンクリートの建物までことごとく吹き飛ばされ、薙ぎ倒されています。被災者の多くは、着の身着のまま倒壊した家を後にしたため、何よりも自分たちの家を取り戻したいと言います。ココナツやバナナなど農作物などの生活の糧もほとんどの人が失いました。
紛争下における人道支援活動を統括する赤十字国際委員会(ICRC)は、ミンダナオ島で長年にわたり人道支援を展開、緊急時に備えた医薬品の備蓄などの支援を実施しています。ボーファが直撃した翌日から、ICRCはフィリピン赤十字社と共に、最も壊滅的な被害を受けた東ダバオ州の四つの自治体(ボストン、カテイール、バガンガ、カラガ:総人口14万人超)で重点的に支援を開始。同地域で被災した人々全てに支援が行き届くよう、活動を展開しています。ICRCは、支援を必要としている20万人強に対して6ヶ月の緊急支援体制を構築。スタッフの数も短期雇用を入れると100人近くの大所帯となり、現場での活動は日々強化されています。
そんな中、12月21日、ICRCの要請を受けて日本赤十字社の医療チームがフィリピンに到着しました。現地の病院や医療機関も被災したため、混乱する医療事情を緩和するのが今回のBHUの役割です。内科診療と簡単な外科処置を無料で行います。
12月25日のクリスマス、まずはチームリーダーの伊藤明子看護師と、BHU設営を手がける新居優喜技士が先陣を切って被災地入りしました。二人が真っ先に始めたのが、BHUの敷地選び。候補地四ヶ所の中から、海からも遠く、ICRCの拠点からも近いバガンガのルコッド地区に決めました。地均しに二日を要し、すぐさまICRCのWater & Habitat (給水・住環境整備担当) チームとタッグを組んで設営工事に着手。しかし、現場は台風ボーファ以降も熱帯収束帯に覆われ、強風と共に土砂降りの雨に襲われる中での設営となりました。
つづく