世界環境デー:持続可能な開発に向けたICRCの活動
ICRCは過去10年に渡り、人道支援活動の一環として持続可能な環境保全活動に取り組んでいます。これまでに、ルワンダ、ネパール、フィリピンでは刑務所の廃棄物処理場にバイオガスプラントを設置したほか、南スーダンでは給水ポンプを、フィリピンでは刑務所の給湯器をそれぞれソーラーパネルで作動させるなど、人間が環境に及ぼす影響を軽減するため様々な試みを行ってきました。6月4日の世界環境デーにちなみ、そして6月中旬に開催される『国連持続可能な開発会議(リオ+20)』を目前に控え、ICRCの様々な取り組みをご紹介します。
バイオガス
ルワンダの刑務所では10年前からバイオガスプラントを使って汚物処理を行っています。被拘束者の健康や環境への影響を考慮すると、有害なガスを発する汚水処理タンクよりも安全であるためです。またバイオガスプラントから発生するメタンガスは、刑務所の厨房で燃料として利用されています。以前は木材を使用していましたが、メタンガスで代用することによって、料理人が長時間煙にさらされる心配がなくなりました。さらに、これにより刑務所近辺の森林伐採率が25?40%減少しました。ICRCの持続可能な開発を担当するアドバイザー、Alain Oppligerは、「人道支援を行う組織として、私たちにはできる限りの手を尽くして環境を保護する義務があります」と語ります。このバイオガスシステムはネパールやフィリピンの刑務所でも採用されています。
ソーラーパネル
南スーダンではソーラーパネルで作動する給水ポンプを設置し、11の地域で5万5千人に水を供給することが可能となりました。このソーラーパネルはフィリピンの刑務所内の厨房でも給湯器に使用されています。ルワンダ、ネパール、フィリピン、南スーダンでの代替エネルギー普及に向けた私たちの取り組みはまだ始まったばかりです。2011年9月以降、私たちは、『環境の保護・経済持続性・社会的責任』を、活動と戦略決定の過程に反映させて、持続可能な開発を目指すことをその方針に掲げています。
将来に向けて
ICRCは有害な医療廃棄物や使用済み電気部品などの処置に関するガイドラインを定めました。コロンビアやインド、ケニアの首都にある代表部では、現在このガイドラインに則って活動を行っています。
国際人道法と環境
国際人道法の下では、環境も一般市民と同様に保護される権利を有します。ジュネーブ条約第一追加議定書では、自然環境に損害を与えることが予測される戦闘行為が禁止されています。私たちは現在、環境保護に関するICRC独自の指示書を軍のマニュアル用に改訂しています。
※環境と戦争に関するICRC本部ウェブサイトもご覧ください
リオ+20 とICRC
国連持続可能な開発会議(リオ+20)においてICRCは、放棄された武器や不発弾による環境汚染の問題を提起します。6月13日から24日まで、Athlete’s公園で写真展を行うほか、14日午後には準備会合において講演を行う予定です。武器による汚染は現在紛争が進行中の地域において人々の命を奪い土地を不毛にさせるだけでなく、紛争終結から数十年が経っても人々の命を脅かします。私たちは武器汚染ユニットを立ち上げ、不発弾の除去プログラムやその危険度に対する住民の関心を高める活動を行い、状況の改善に努めています。
※リオ+20の公式ウェブサイトもご覧ください
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。