シリア:ICRC 国際人道法の遵守を強調
ジュネーブ/ダマスカス(ICRC)- 武力紛争が激化するシリアでは、一般市民への被害が悪化の一途を辿っています。人道ニーズの増大に合わせ、ICRCは支援活動をさらに強化しています。また、すべての紛争当事者に対し、一般的に「戦争法」として知られている国際人道法のルールと原理を遵守するよう呼びかけています。
ICRCの中近東事業局長Robert Mardiniは「私たちはすべての紛争当事者に対し、国際人道法で定められている責務を果たすよう呼びかけています」と話し、「私たちはすでにシリア当局および反武装勢力グループと個別に話し合い、人道に関する懸念事項を伝えました。これ以上命が失われたり、一般市民に苦しみが及ぶことがあってはなりません。今まさに戦闘中の関係者にこの声が届くよう、緊急に広く呼びかけを行っています」と説明しました。
国際人道法によって、一般市民や、敵対行為に参加していない・あるいは被拘束者や傷病者のようにもはや参加していない人々への攻撃は禁止されています。戦闘の手段・方法にも規定が設けられています。
Mardiniは次のように話します。「国際人道法のもと、紛争当事者は常に一般市民と敵対行為に直接参加している人々の区別を行わなければなりません。攻撃は軍事目標のみを対象とするべきであり、市民や、家屋・学校・礼拝堂などの民間施設を標的にしてはなりません」。続けてMardiniは「アレッポやホムズ、ダマスカスなど人口が密集した都市部においては特に、紛争当事者は戦闘の方法を慎重に選ぶ必要があります。可能な限り一般市民と民間施設に被害を与えてはなりませんし、一般市民は誰もが安全な場所へ自由に避難できる権利を与えられるべきです」と話しました。
紛争下では、特に医療サービスの保護が重要となります。「このような緊急事態において、迅速で適切な医療サービスの可用性は生死に関わる問題です。関係者は、敵味方関係なく傷病者が一刻も早く安全な場所で治療を受けられるよう、すべての策を尽くす必要があります」とMardiniは語ります。また、人々が安全に医療を受けるためには、医療従事者や救急車、病院、さらには赤十字・赤新月の標章が攻撃から守られることが不可欠です。
さらにMardiniは「被拘束者および紛争当事者の支配下にある人々は、いかなる状況下であっても人道的な扱いを受けなければなりません」と付け加えました。殺人や拷問などの残虐な扱いは、どんな状況下でも許されません。
あるICRC職員は次のように訴えます。「戦闘により避難した人々が適切な避難場所と医療サービスの恩恵を受け、無事でいられるよう、紛争当事者はすべての可能な策を尽くさなければなりません」
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詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます