シリア:総裁、戦闘下の訪問を終了
ジュネーブ(ICRC)- ICRC総裁ペーター・マウラーは、3日間のシリア訪問を終えスイスに帰国しました。訪問中、マウラーはアサド大統領、外相、保健相、国民和解担当国務相と会談しました。また、戦闘の被害を受けたダマスカス郊外を訪れ、激しい戦闘下で必死に生きる市民の様子を目の当たりにしました。
マウラーは次のように話しています。
ダマスカス郊外のMu’dhamiya、Qaboun、Harastaでは、家屋やインフラが激しく崩壊された光景に衝撃を受けました。また、戦闘で両親を失った子供たちの話に胸が痛みました。
ダマスカス郊外にある数カ所の医療施設では、施設・従事者ともに大変困難な状況に直面している様子を目の当たりにしました。本来であれば救われるはずの多くの人々が、医療にアクセスできないために日々命を落としています。一方で、シリア赤新月社のボランティアスタッフは非常に危険な状況下で活動を続けており、その勇敢な行動には心から感銘を受けました。医療従事者と医療施設は保護されなければなりません。
紛争が勃発して以来、多くの人々が犠牲になっている上、状況は急速に悪化し続けています。アサド大統領との会談では、支援物資の輸送規制を緩和し、人道支援を拡大する必要性があることに同意を得ました。これにより、私たちの活動の拡大、そして急増するニーズへの適切な対応が可能になります。
アサド大統領とは、この紛争によりシリア国内の施設に拘束されているすべての人々を訪問するという、私たちの重要な要請についても話し合いました。ここで言う施設とは、治安当局が管理する施設や取り調べのために利用される施設などを含めたすべての施設を指します。アサド大統領はこの件に対応していく姿勢を示しました。2011年3月以降、何万もの人々が国内で拘束されています。彼らが持つ基本的な権利は守られるべきであり、家族とも連絡を取り合えるようにならなければなりません。
会談で交わされたシリア側の前向きな誓約は、数週間のうちに同国内の現状に反映されなければなりません。シリアでは日々、死傷者と苦しみが耐えない状況です。今回の会談がどのように国内の現状に影響していくか、個人的にも注意深く見ていきたいと思います。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。