アフガニスタン:2012年1月から9月までの活動概要
収容所訪問、家族の再会支援
ICRCは、NATO率いる国際治安支援部隊の関係国、米軍、アフガニスタン当局によって運営されている収容所を定期的に訪問しています。収容所の訪問は、被拘束者と家族の連絡再会や、不明者の捜索にもつながります。
2012年の年明け以降ICRCが行ってきた収容所訪問に関する活動は以下の通りです。
・ 97カ所の収容所を249回訪問。
・ 2,917人の被拘束者を個別に監視。その内、初めて面談を行った被拘束者は1,167人。
・ 解放された元被拘束27人に対し、帰宅に必要な交通費を支給。
・ アフガニスタン赤新月社との協力のもと、1万4,525通の赤十字通信を預かり、1万5,700通を配達。手紙のほとんどは被拘束者と家族間のやり取りだった。
・ 北東部Parwan州の収容所およびアフガニスタン国立収容所の被拘束者の家族に対し、被拘束者とビデオ電話で通話をする機会を提供。行われた通話は3,705回。
・ Parwan州の収容所の被拘束者の家族に対し、述べ3104回収容所を訪問するための交通手段を提供。
医療の提供
ICRCは保健省が運営する北部のSheberghan病院と南部のMirwais地域病院に薬や医療面の支援を行っています。さらに47のアフガニスタン赤新月社病院に対し、技術・経済的支援、薬・医療用品の提供を行っています。また、戦闘の前線にある地域においては応急処置キットや医療品を配付するとともに、戦闘員と一般市民に対し応急処置の研修を行っています。
2012年の年明け以降、Sheberghan病院とMirwais地域病院は2万4,705人の入院患者と8万8,597人の外来患者を受け入れてきました。また、Mirwais地域病院は約8,000件の手術を行いました。
さらにICRCは以下の活動を行ってきました。
・ 1,846人の戦闘員、国家治安部隊、地元警察職員、保健省職員、病院に負傷者を搬送することの多いタクシー運転手に対し、応急処置の研修を実施。
・ 北部と南部でICRCが運営する地元の保健センターに薬やその他の物資を毎月提供。
身体リハビリテーションの実施
ICRCはアフガニスタン国内7カ所の義肢・矯正センターにおいて、手足を切断した患者やその他の障害を抱える患者に対し身体リハビリテーションを行っています。障害を持った人々が職業訓練やマイクロクレジット融資、子供のホームスクーリングなどを通して社会復帰できるよう、支援を行っているセンターもあります。特に対まひ患者には医療・経済・社会面の支援に加え自宅でのケアも提供しています。
2012年1月から9月までにICRCが7カ所の保健センターで行った活動は以下の通りです。
・ 手足を切断した833人の患者を含める5,700人以上の初診患者を登録。
・ 5万9,293人の患者を支援。
・ 約1万700個の義肢・矯正用具を患者に装着。
・ 理学療法セッションを17万1,800回以上実施。
・ 530人の患者にマイクロクレジット融資を付与、小規模ビジネスの開始を支援。
・ 250人近い患者に対し職業訓練を実施。その内205人が訓練を修了。
・ 5,171件の自宅訪問を行い、脊髄損傷の患者を治療。
食料配布、その他の支援
アフガニスタン赤新月社との密接な連携のもと、ICRCは紛争や自然災害の被害者に食料やその他の物資を配付しています。またアフガニスタン各地において、被害者に復興作業に関わる仕事を与え、その対価として食料を支給するFood-for-Workプロジェクトを通し一家の担い手の収入源を支援しているほか、家畜の所有者に対し基本的な獣医技術を教える研修プログラムを行っています。
今年に入りこれまでICRCとアフガニスタン赤新月社が食料やその他の支援に関して行った活動は以下の通りです。
・ Food-for-Workプロジェクトに参加している4,945世帯に359トンの小麦、米、豆を配付。
・ 紛争または自然災害により避難した2万1,118世帯に1カ月分の食料と家庭用品を配布。
・ 北部に住む667人の女性に生後2カ月のひよこを提供、養鶏で生計を立てられるよう支援。併せて、養鶏に必要な餌や水やり器、餌箱などの基本的な道具を提供。
・ 北部と南部の家畜所有者680人に対し、畜産に関する研修セッションを実施。
・ 1,366世帯にマイクロクレジット融資を付与、農畜産業の改善を支援。
水、衛生環境の改善
ICRCは地元の水道管理局への支援として、農村部および都市部に安全な水の供給を目指した井戸の掘削、パイプラインの設置、住民を対象とした手動ポンプの維持管理に関する研修などを行っています。また、ICRCは収容所当局に対し、所内の衛生環境状況を改善するための支援も行っています。
2012年1月から9月までにICRCが水、衛生環境の改善に関して行った活動は次の通りです。
・ パイプラインと掘削井戸を設置、東部のJalalabad、西部Herat、Farah、南東部Kandahaの都市部に住む6万5,000人以上に安全な水を供給。
・ 首都カブール、北部Balkh、Kunduz、北東部Kapisa、Parwan、中北部Bamyan、西部Herat、東部Paktia、Khost、Nangarhar、中東部Ghazni、南東部Kandaharの農村部に住む約26万6,000人に安全な水を供給するための活動の一環として、手動ポンプを設置、ポンプの維持管理に関して住民に研修を実施。また、源泉集水システムを改良。
・ カブール、Herat、Farah、Jalalabad、Kunduz、Balkh、東部Laghmanに住む約2万6,000人の人々に対し、衛生に関する意識を高めるためのセッションを実施。
・ 8,300人の被拘束者が生活する地方の12カ所の収容所において給水・衛生環境を改善するための支援を実施。
・ KandaharのMirwais地域病院の改修工事を継続して実施。
国際人道法遵守のための普及活動
紛争当事者との対話においてICRCは、国際人道法の遵守を促進し一般市民とその他の戦闘被害者を保護する責任を継続的に強調しています。また、武装部隊、治安部隊、市民社会グループ、政府機関、大学において国際人道法の普及を図っています。
2012年1月から9月までにICRCが国際人道法の普及に関して行った活動は以下の通りです。
・ アフガニスタン国軍、国家警察、地元警察部隊、国家治安局、武装反勢力の職員約3,000人に対し、国際人道法に関する講演を実施。
・ 地域の高齢者、宗教学者、地方議会議員、政治機関、NGO、アフガニスタン赤新月社関係者、ICRC支援者など1万7,300人に対し、ICRCの使命と活動について説明。
アフガニスタン赤新月社との共同活動
ICRCはアフガニスタン赤新月社が住民に幅広い支援サービスを提供できるよう、同社に対し技術・経済両面での支援を行っています。
2012年1月から9月にかけてアフガニスタン赤新月社はICRCの協力のもと、国内各地で紛争の被害を受けた人々に食料、家庭用品、種、肥料、農具を配付しました。
参考
アフガニスタンは資金面におけるICRC最大の活動国です。2012年の予算は8,900万スイスフラン(約75億円)。1,650人以上の現地職員と140人の国際職員が首都カブールの代表部、国内5カ所の副代表部、11カ所の事務所を拠点に活動しています。また、ICRCは7カ所の義肢・矯正センターを運営しています。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。