ミャンマー:人々のニーズに応えるべく人道支援を拡充
ジュネーブ / ヤンゴン – 赤十字国際委員会(ICRC)はミャンマーでの活動を拡充し、収容所の状況の改善と武装紛争やその他の暴力行為に苦しむ人々を支援する取り組みに励みます。昨年から続くラカイン州での暴動により生活が崩壊した数千人の人々は、家や生活手段を失ったままであり、ヘルスケアへのアクセスも激減しています。
「ミャンマーでは、紛争やその他の暴力行為により人道面での支援ニーズが大きくなってきています。」と東アジア・東南アジア・及び大洋州地域担当局長のアラン・アシュリマンは話します。「何百人もの人々が命を落とし、負傷しました。何千戸もの家が破壊され、地域社会は必要なサービスを享受するのに苦労しています。」
ドナーへのアピールにおいて、ICRCは追加資金として850万スイスフラン(882万米ドル)を要請しています。このアピールが認められれば、同国支援のための2013年の予算は計1,560万スイスフラン(1,640万米ドル)となります。支援の多くは、ミャンマー西部のラカイン州におけるコミュニティー間の暴力行為で最も影響を受けた人々のために活用されます。2013年1月に収容所訪問を再開してから、ICRCは収容所の状況改善に向けた行政機関への技術支援にも乗り出しました。紛争により何万もの一般市民が立ち退きを余儀なくされたとされるカチン州や北シャン州では、ヘルスケアの提供支援の枠組みを拡充すべく模索しているところです。
「徐々に人道支援活動の範囲を広げているところです。最も被害の大きい地域で私たちのプレゼンスを上げ、収容所訪問も再開しています。」とアシュリマンは話します。「一月に総裁が訪問し、テイン・セイン大統領や閣僚と会ったことは大きな一歩でした。これまでの実績を集約し、支援を必要としている人々に手を差し伸べるべく活動を拡充していくことが目標です。」
2012年6月に最初の暴力行為が起こったラカイン州では、緊張が高まり易い地域での基本的なヘルスケア・サービスの回復を支援しています。ICRCとミャンマー赤十字社のジョイント・チームは、ムスリムとラカイン族それぞれのコミュニティーに属する900名を緊急医療と診察のために一月からシットッエ病院に移動させました。「負傷者や病人は集落の境界線を越えてクリニックや病院にいくことが難しいのです。」とアシュリマンは述べます。「私たちはヘルスケア施設の保健衛生と水供給システムを改善しています。これは種族を問わずサービスを必要としている人々全てのためです。また、助産婦を村に戻すなど予防医療を復活させる方策も考えているところです。」
コミュニティー間の暴力行為や緊張は収入の減少ももたらしました。「何万人もの人々の生活手段が破壊されました。コミュニティーはほとんど交流をすることがありません。つまり、交易、農業のための土地へのアクセス、漁業、単純労働による収入の機会が減っているのです。とアシュリマンは話しました。「ICRCは、ラカイン州の15,000人以上の人々が収入を得てそれを維持できるよう支援していく計画です。」
このプロジェクト(cash for workプロジェクト)は各コミュニティーのニーズに合わせて実施されています。パウトウとラテイタウン地域では、道路、井戸、灌漑設備といった村のインフラ改善に焦点が当てられています。また、ICRCのエンジニアにより水と衛生施設が改善され避難民が暮らすキャンプのシェルターも改築されました。
これまでの6カ月間では、ミャンマー各地で6回の収容所訪問を実施し、施設内の状態や待遇をモニターしました。訪問中は建物内を巡回し、希望する被拘束者と個人的に話をすることもありました。ICRC職員は、被拘束者の福利に係る調査結果や勧告について当該行政機関と話し合います。収容所機関へのICRCの支援は、今のところ水と衛生施設の改善に現れており、計14,000人が恩恵を受けました。「収容所を担当する行政機関とは密接な連携を保ち、私たちの専門性が最も必要とされるところに手を差し伸べたいと思います。また、収容所の医療施設に薬や必需品が備わっているようになれば、被拘束者に適切は医療を提供することが可能となります。」とアシュリマンは述べました。
紛争による被害を受けたミャンマー北部のカチン州への第一回視察が二月に行われました。ここでは、反政府組織と政府組織が支配するそれぞれの地域の三つの病院に主要な医療設備を届けました。「この地域での緊急及び基礎的な医療サービスをサポートし、医療インフラを改善するための方策を考えています。また、地雷の被害にあった人々のための身体的リハビリテーション・サービスも拡充しなければなりません。」とアシュリマンは語ります。現在ICRCは、行政機関やミャンマー赤十字社が運営する4カ所のリハビリテーション・センターを支援しています。今年に入ってから、身体に障がいを負った人々約2,000人にサービスを提供しました。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。
ミャンマーにおけるICRCの活動についてはこちら(英語)をご覧下さい。