【開催報告】第12回アジア太平洋地域国際人道法(IHL)模擬裁判大会

2014.03.25
FromArai

同志社大学から参加者およびサポーター一同、新井京、法学部教授とともに。©D.Shibasaki/ICRC

3月13日~15日、香港紅十字社(HKRC)、赤十字国際委員会(ICRC)、香港大学法学部および香港中文大学法学部との共催により、第12回アジア太平洋地域国際人道法(IHL)模擬裁判大会が香港で開催されました。日本からは、昨年12月に開催した国内予選を勝ち抜いた同志社大学チームが、日本代表として出場。優勝チームには、豪・アデレード大学が選ばれました。

 

例年この時期に香港で開催されるアジア太平洋地域IHL模擬裁判大会は、今年で12年目を迎えました。今年の出場校数は、これまでで最大の18のアジア太平洋地域の国から、24チームに上りました。本大会では、予選、準々決勝、準決勝、決勝を3日間に渡って競いますが、多くの大学やロースクール等では、模擬裁判を授業に取り入れた教育が行われているため、その内容は浸透しており、本大会のレベルは年を追うごとに上がっています。

 

一方、英語を母国語としない国から参加した学生にとっては、英語で弁論を戦わせることが大きな壁となり、本来の力を十分に発揮できず、苦戦が強いられました。それは日本から参加した同志社大学チームも同様で、他のチームに引けを取らない頑張りをみせ、健闘しましたが、予選敗退という結果となりました。

 

しかしながら、参加されたメンバーやサポーターたちは、この機会に多くのことを学んだようです。弁論者の一人でもある中川美咲さんは、「模擬裁判大会に参加することは、法律に初めて触れる私にとって全く新しい世界に飛び込むことでした。分からないことだらけでしたが、この大会を通して国際人道法や世界の紛争、弁論のコツなど本当に多くのことを学ぶことができました。私の大学生活に大きな影響を与えてくれた模擬裁判大会との出会いに感謝しております」と話してくれました。

 

今後の課題の一つは、日本国内での国際人道法及び模擬裁判大会の認知をさらに高めることです。ICRCは、引き続き国際人道法に係るイベントや活動を通じて、模擬裁判の魅力を伝えるとともに、大学、関係団体、政府機関等との連携を強化して行きたいと考えています。

 

最後に、国内予選も含め、同志社大学にてIHL模擬裁判を正規の授業に取り入れながら、国際人道法教育を熱心に推進されている新井京・法学部教授は、「本大会は、世界の共通語である国際法、特にその中でもシビアな現実の中で語られる国際人道法が、現実にさまざまな国で真剣に議論されていることを学生達に体感させてくれます。日本チームにとっては、法廷技術など世界の壁の高さを実感する場となりますが、参加した学生は帰国後は違う輝きを持っています」と述べています。

 

国際人道法を体感する機会として、2014年度も、国際人道法模擬裁判大会日本国内予選を開催すべく検討が始まっています。

詳細については、当ウェブサイトやツイッターなどでお知らせします。

 

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