南スーダン:マバン郡の避難民を支援
スーダンで継続中の戦闘により家を追われた何千もの世帯が、隣国南スーダンの上ナイル州マバン郡のキャンプに身を寄せています。ICRCは8万人の避難民に支援を行い、安全な水へのアクセスの改善に取り組んでいます。
水と支援
ICRCは9月、マバン郡にある4ヵ所のキャンプの内、スーダンとの国境に近く最も深刻な水不足に苦しむYusuf Batilキャンプ内の既存の配水網を強化するプロジェクトを開始しました。同キャンプでは約37,000人の避難民が生活しています。ICRCは、キャンプ内で特に水が不足している箇所に配水管や貯水タンク、水飲み場、ポンプを設置しています。
南スーダンで支援プログラムを担当するICRCのAdrian Zimmermannは、「キャンプの住民は安全な水を十分に得られていません。結果、衛生上の問題が起き、下痢などの病気が蔓延しました」と話し、「私たちは他の人道組織とともに給水の拡大に向けた取り組みを行っています。また、避難民が遠くまで水を汲みに行かなくても済むよう、水飲み場を居住地の近くに設置する予定です」と説明しました。
同じくマバン郡のJamamキャンプでは、避難民への安定した水の供給に向けて、全長15kmの配水管を設置しました。Jamamは次々と到着する避難民の通過地点ですが、大量の避難民がやって来た5、6月に比べると、現状はにわかに落ち着いてきています。Zimmermannは、「過去数週間、数ヵ月の間にスーダンからの長旅に耐え抜くことができた人々は、腰の高さまである泥水を掻き分けながらJamamに到達しました」と説明します。「これからまた、キャンプに到達する避難民の数は増えることが予想されます。乾季が近づいているので移動がより容易になるからです」
また、マバン郡の4ヵ所のキャンプでは、衛生状況を改善するため、ポリ容器やバケツ、石鹸、洗面器の提供も行われました。「私たちは、キャンプで生活する家族が安全に水を確保し、貯水できるよう努めています」とZimmermannは言います。
さらにICRCは、4ヵ所のキャンプで支援を最も必要としている世帯に家庭用品を配付。悪天候やマラリア、呼吸器系の感染症から身を守るため、計8万人の避難民が追加の衣服、防水シート、毛布、蚊帳、マットレスを受け取りました。
家族との連絡再開
マバン郡に身を寄せる避難民の多くは、戦闘から逃げる際に家族と離れ離れになっています。年明け以降、ICRCは南スーダン赤十字社と一緒に、1,300人以上の人々に対し、連絡が途絶えていた親族と電話で話ができるよう便宜を図りました。上ナイル州周辺で活動するICRC職員のMarc Thorensは、「多くの避難民にとって、家を離れてから初めて家族と連絡を取る機会となっています。電話の向こうにいる身内に、無事に生きていると伝える声を届けているのです」
また、ICRCは今週、コンゴにいた子ども2人を南スーダンの家族の元へ帰し、南スーダンにいた子ども8人をコンゴの家族の元へ帰しました。子どもたちは、住んでいた村が武装グループの攻撃を受けたため、避難していた途中に家族と離れ離れになりました。
南スーダン赤十字社は先日、ICRCの支援を受けて、行方不明となった家族の追跡調査を担当する部署の業務を拡大しました。国内の赤十字支部に配属された専門職員は、赤十字ボランティアと密接な連携をとりながら親族と連絡が取れなくなった人々を見つけ、彼らが再び連絡を取れるように尽力しています。ケニアのKakuma難民キャンプやエチオピア西部の複数のキャンプ、その他世界中の国々にいまだ多くの南スーダン人がとどまっていて、追跡調査事業の需要が依然大きいのが現状です。
軍法律顧問への武力紛争法に関する研修
10月末、ICRCは南スーダン軍の法律顧問に対して、初めて武力紛争法に関する研修を実施。南スーダンは、1949年締結のジュネーブ四条約の最も新しい加入国です。国が一般市民や負傷者、被拘束者を確実に守り、尊重するための重要な役割を同国軍が担っています。
一週間の研修を終え、人材養成副長を務めるAyuen Alier Jongroor中将は、軍事行動の際に軍の法律顧問が司令官を指導することの重要性を強調しました。「国軍がプロの職業軍人となるべく、今回の研修では私たちの戦闘部隊が武力紛争法に従う義務について学びました。この法律は、私たちのすべての軍事行動における支柱です」と話すJongroor中将は、ICRCとマレーシア防衛省が同月に共催した、70ヵ国の軍高官を対象にしたワークショップにも参加しています。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。