フィリピン:赤十字、台風による被災者28万人を救援

2013.01.16

1月16日

赤十字国際委員会(ICRC)とフィリピン赤十字社は、昨年末にフィリピンを直撃した大型台風ボファーの被災者に対して支援を続けています。

ミンダナオ島東部を直撃し、1,800以上の死者、行方不明者を出した台風の発生から一ヵ月以上が経った今も、現場では多大な援助が必要です。最も壊滅的被害を受けたダバオ・オリエンタル州では、道路、住居や農作物の95%が破壊されました。ICRCとフィリピン赤十字社は緊急対応を続けていて、現在では被災者が普通の生活を取り戻すために食糧、安全な水、避難所、医療などの供給に取り組んでいます。

ICRCとフィリピン赤十字は以下の点で共同事業を拡大しています。

●現地の医療施設が回復するまで、緊急事態に対応できるようバガンガに診療所を設置

●生活必需品の供給による生活の支援

●生活再建に向けた食糧、飲料水、基本的な家庭用品の供給

地元の医療設備の強化

ダバオ・オリエンタル州の緊急事態に対して、ICRCはフィリピン赤十字社と共同でBasic Health-care Unit(ベーシック・ヘルスケア・ユニット)の仮設診療所を立ち上げました。6つのテントの診療所は、ICRCの要請を受けて昨年末に現地へ緊急派遣された日本赤十字社の4名の医療チームを含む、計24人のスタッフによって活動しています。

唯一の医師、ドイツ赤十字社のグンドゥラ・エップ・グラーク医師は「今回の台風でバガンガの医療施設のほとんどが倒壊しました。私たちは以前の医療サービスのレベルまで戻したい。」と語りました。

BHUは1月3日の開設以来、既に1,200人以上の患者を診察し、現在では毎日100-120人以上を受け入れています。診療の多くは急性呼吸器感染症、発熱、下痢、皮膚感染症、外傷などですが、中には服用中の薬がきれた慢性疾患を持つ患者もいます。台風の影響により、医薬品を手に入れることが難しくなっている現状は、被災者にとってさらにストレスとなっています。グンドゥラ・エップ・グラーク医師は「彼らの多くは、地元の薬局で薬を買うお金を持っていない。」と言います。

またBHUの医療チームは多くの女性と子どものケアも行っています。リーゼル・ジュリアンもそのうちの一人です。彼女と生後7ヵ月の子どもはひどい咳、風邪と発熱に苦しんでいる時にBHUのことを知りました。「赤十字が無償でこのようなサービスを提供してくれて本当に助かります。私たちは今回の台風で全て失ってしまいました。家も、生活も、食糧も全て。」とリーゼルは話します。

食糧と避難所の供給

広範囲に渡る被害を受け、ICRCとフィリピン赤十字社は支援物資の供給計画を見直しました。その結果、1月中旬には壊滅的被害を受けたダバオ・オリエンタル、コンポステラ・バレー、スリガオ南部の3州で280,000以上の被災者に1ヵ月分の支援物資(食糧、ジェリー缶、蚊帳、石鹸など)を配給し、追加分の配給もすでに開始することができました。

コンポステラ・バレー州の収容所も今回の台風で被害を受け、水と電気が通らなくなりました。被拘束者の訪問を何十年も続けてきたICRCは、収容所の修繕に必要な建築資材を提供しました。

ダバオ・オリエンタル州の自治体、カテイールとバガンガでは、ICRCとフィリピン赤十字によって建てられた給水所や八つの村への給水車のおかげで、すでに19,000近くの人たちが安全な水を確保することができています。またICRCはこの二つの自治体に給水システムの修理に必要な資材を提供し、新たに6,500人にも安全な水を届けられるようになりました。コンポステラ・バレー内にある2ヵ所の医療施設にも同様の資材を提供し、給水ルートの修繕に活用されます。

支援物資(食糧、家庭用品、防水シート)を配給した人数(1月13日現在)
New Bataan、コンポステラ・バレー:約56,000人
Lingig, スリガオ南部:約16,000 人
カテイール、ダバオ・オリエンタル州:約71,000 人
ボストン、ダバオ・オリエンタル州:約30,000 人
バガンガ、ダバオ・オリエンタル州:111,000 人以上
計280,000人以上

詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。