マリ:依然困難な北部の人道状況
マリ北部の人道状況は現在も悪化の一途を辿っています。武力紛争の影響に加え、洪水による農作物への被害や食料の値上がりに人々は苦しんでいます。ICRCは特に大きな被害を受けた地域での食料配付を急いでいます。
ICRCマリ・ニジェール地域代表部首席代表のJean-Nicolas Martiは次のように説明しています。「TimbuktuやKidalなどの地域では、値上げによりほとんどの人が基本的な食料を入手することが困難な状況です。今年は豊作が見込まれていましたが、治安の悪化や植付時期の手入れが不十分であったことなどから本来のように農作物が育ちません。さらに一部の地域では洪水被害も見られており、収穫時期とはいえ食料の配付が必要とされているのです」
42万人分の食料配付
ICRCとマリ赤十字社はTimbuktu、Gao、Kidal、Moptiなどで食料の配付を続けています。9月に要請した2,500万スイスフラン(約21億円)の追加支援により、42万人分の雑穀、米、豆、油、塩の配付が実現しました。
「私たちは、備蓄を完全に消費してしまった人々に対し食料の配付を継続していきます。今すぐに必要とされているニーズに応えると同時に、彼らが生き残るために必要な対策を見出していきます」とMartiは話します。
家畜所有者への支援
紛争が勃発する前から行っていた家畜所有者への支援プログラムは、治安悪化後も継続しています。7月から9月の間に16万頭以上の家畜が寄生虫予防を受け、さらに弱った1万5,000頭の牛、羊、山羊の「頭数調整」が行われています。今日までに約6,000頭の家畜が購入または処理され食肉として7万8,000人の人々に配付されました。また、新たな予防接種キャンペーンを来月より開始する予定です。
洪水の被害を受けた人々への支援
多くの町や村で見られる洪水被害は人道状況悪化の原因の一つとなっています。8月と9月の猛烈な豪雨により多くの人々が命を落とし、家屋や穀倉などにも多大な被害が及びました。
ICRCとGao、Mopti、Timbuktuのマリ赤十字社支部は約4,000人の洪水被害者を確認し、防水シートやマットレス、毛布、殺虫剤をしみ込ませた蚊帳、調理器具、バケツ、衛生用品、衣服、食料などを配付しました。
マラリアへの対策
雨期の今、マラリアの発症件数が急増しているとの報告が北部の医療施設に寄せられています。Gao地域病院が9月に対応した約1,500件の外来のうち、30%以上がマラリア関連でした。
ICRCはGao地域病院のすべての診療科に薬と医療品を提供し続けています。9月には171人の患者が入院し、そのほとんどは緊急対応が必要な状態でした。また、ICRCは9カ所のうち6カ所の医療センターに薬の提供を中心とした支援を再開しました。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。