コロンビアの行方不明者:残された家族の不安

2014.02.07

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8年前に行方不明になった息子に関する情報を待つ70歳の父親
©ICRC / S. Giraldo

 

南米コロンビアで、6万3000人以上の行方不明者が報告されました。残された家族は安否の確認が取れないまま、苦悩の日々を送っています。

エクアドルとペルーに国境を接するコロンビア南西部のプトゥマヨ県では、少なくとも1150名以上が紛争が直接の原因で行方不明となったといわれています。

 

2009年12月24日、当時16歳だったジェイダー(仮名)は入隊を決意し「学費を稼いでくる。1月になれば家に帰ってきて学校に戻るよ」と母親のルビエラに言い残し姿を消しました。そしてルビエラが最愛の息子の姿を見たのは、これが最後でした。

 

「息子が家を出て20日も経たないうちに、爆撃があり、私の息子が犠牲者の一人だと言う噂を耳にしました。私はプエルトアシスに行ったのですが、息子は身元確認もされないまますでに埋葬されていました」とルビエラは、息子を失った経験について語ります。

 

政府機関が所有する写真を見せられ、彼女は息子の死を確信しましたが、二つのDNAサンプルの紛失や政府の遅い対応に、彼女は長い間苦闘しました。ルビエラは「絶望的な日々が続き、不安で気が狂いそうになりました。しかし赤十字国際委員会(ICRC)の協力のおかげで、私は息子について詳しく知ることができました」と説明します。

 

ICRCは、このような困難な状況に置かれている家族の苦痛を軽減し、ニーズに応えるよう努めています。行方不明者に関する情報収集や提供をはじめ、政府当局に対しても適切な対応を呼び掛けています。基準や法律に対する認識を促し、行方不明者の登録の手順についてのセミナーを開催。政府関係者にも適切な墓地管理(エリアのマーキングや身元不明の遺体のデータ保護)ができるよう、研修も実施しています。

 

コロンビアでは、ジェイダーのように、行方や安否が家族に知らされないまま、共同墓地に埋葬される人が多くいます。遺族は、愛する家族の帰りを切望しながら、心に大きな不安を抱えた毎日を送っています。ICRCは、このような現状を理解し、被害者の遺骸の保護と身元確認に努めています。また、他機関と協力しながら、被害者の家族や政府関係者に対する行方不明者の調査における道徳的なルールの指導にも努めています。紛争下にある政治組織や武装勢力が、行方不明者に関する情報の隠滅を禁止する規則を順守するよう呼び掛けていくのもICRCの取り組みの一つです。

 

 

詳細は本部サイト(英語)をご覧ください

 

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