マリ:食糧難の北部で支援活動
西アフリカのマリでは紛争と食糧危機の影響により、人々の生活環境が日々悪化しています。ICRCはマリ赤十字社との協力の下、支援の範囲を今後更に拡大していく予定です。
マリ/ニジェールを統括するICRC地域代表部首席代表のJean-Nicolas Martiは、「私たちが半砂漠地帯の農村で出会った人々の多くは、1日を乗り越えるのがやっとの状況に置かれています。経済活動は全て停止しており、何万もの避難民と住民が食料や生活必需品の不足に苦しんでいます。医療へのアクセスも困難な状況です」と話しました。
Martiは続けて、「食糧危機と武力紛争が重なったことにより、人々は深刻な状況に追い込まれています。ほとんどの家庭では収入源を失いました。人々は日々食事を切り詰めて生活しており、栄養摂取量も低下しています」と説明しました。
4月はじめに北部の主要都市で戦闘後の略奪があり、備蓄していた作物が被害を受けました。それに加え、干ばつ、鳥やイナゴによる被害、ニジェール川から流れる水が不十分であることなどが原因で、今後農産業に壊滅的な被害が出ると見られています。
ICRCとマリ赤十字社は、人道団体の活動が行き届いていない同地域で、食料やその他必需品の配布活動を行う予定です。
困難な状況下に置かれた医療施設、閉鎖された学校
市外にある地域医療施設のほとんどは、略奪または職員の職場放棄により機能していません。稼動中の医療施設においても、地域の薬剤倉庫が機能しておらず今後の運営が難しくなっています。私たちは現在支援している医療施設に加え、更に支援活動の範囲を広げていく予定です。
また、北部ではほとんどの学校施設が破壊され教師が退去を余儀なくされたため、学校が閉鎖しています。今、最も懸念されているのが、これらの学校に通っていた生徒たちが武装グループに参加するおそれがあるという事です。
避難した人々の人道危機
マリの南東部に位置するブルキナファソには、6万人以上がマリから避難してきました。多くの人が収入源である家畜とともに避難してきたため、現在同地域には約15万頭の家畜がいると見られています。しかしこれにより牧草地が不足している上、環境にも影響が出ており、現地の人々と避難民との間に亀裂が生じかねません。
また、マリの西部に位置するモーリタニアでも、マリから避難してきた何万もの人々が厳しい環境の下で生活しています。これらの人々も支援を必要としているものの、アクセスが困難な乾燥地域に身を寄せていることもあり、支援が難しくなっています。持ち込んだ家畜の健康状態も悪化しています。
ICRCはモーリタニアに避難している人々に対し、毛布、衛生用品、台所用品、脱脂粉乳などを支給する予定です。ブルキナファソにおいても、ブルキナファソ赤十字社との協力の下、同様の物資を1万8千人の避難民に支給しました。今後は更に、避難民の家畜に対する支援活動についても検討しています。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。