シリア赤新月社スタッフの殺害を受けて
2013年11月19日
国際赤十字・赤新月社運動(以下、赤十字運動)は、シリア赤新月社(SARC)のボランティア、サブリ・イブラヒムが11日に殺害されたことに激しい怒りを覚えます。彼は、アレッポ県アイン・アル=アラブ郡の赤新月社支部に所属していました。
シリアで紛争が勃発してから、これまで計32名のSARCスタッフが人道支援を行っている最中に殺害されました。彼らはみな赤新月の標章をはっきりと掲げて活動していました。国際人道法では、赤十字と赤新月のの標章を身につけている者は攻撃されてはならず、保護されなければなりません。
人道面での状況が悪化する中、サブリの死は、救援職員やSARCのボランティアが、いかに困難と危険に晒されながらシリアで懸命に活動しているかを物語っています。
赤十字運動は、シリアの紛争当事者に対して、赤十字と赤新月の活動を尊重し、救援スタッフの安全とシリア国内で支援を必要としている人々への迅速なアクセスを保障するよう、10月29日に呼び掛けたばかりでした。また、現地で影響力を持つ人々に接触し、支援を最も必要としている人々に私たちが手を差し伸べられるよう協力を要請したところでした。私たちの活動が尊重されなければ、何百万ものシリア人の命を救い、彼らが必要とする支援を届けることなど不可能に近くなってしまいます。
私たち赤十字運動は、国際人道法を尊重するよう、ここで再度呼び掛けます。救援スタッフ、彼らの家族、被害者、そしてなによりも人道のために国際人道法は尊重されなければならず、私たちの支援がシリアの人々に行き渡ることが重要なのです。私たちは、国際社会とシリアの全紛争当事者に対して、このような事態が収束に向かうよう緊急行動に出ることを断固として訴えます。
赤十字運動は、サブリ・イブラヒムの家族に心から哀悼の意を表明し、シリア赤新月社との変わらぬ結束を誓います。ボランティア、職員、支援者など赤十字運動に関わる全ての人々に、シリア赤新月社と連帯して立ち上がり、シリアで活動するボランティアと救援職員の安全を保障するよう今後も訴え続けます。
このたびの悲報は、オーストラリアのシドニーで開催中の赤十字運動代表者会議(隔年で開催)に出席している幹部たちにも伝えられました。各国赤十字社・赤新月社は、SARCのボランティアや世界中で命を危険に晒しながら救援活動に従事しているボランティアと救援職員に対する強い支援の意を表明しました。シドニーの会議では、赤十字運動の使命を掲げて平和の確立と人道支援活動に貢献した団体に送られる「赤十字・赤新月賞」がSARCに授与されました。
詳細は本部ウェブサイト(英語)をご覧ください。