イエメン: 治安悪化で増加するニーズへの対応
イエメンでは治安情勢の悪化に伴い、人道支援を必要とする地域へのアクセスが、ますます困難になってきています。このような状況の中、ICRCは武力紛争の影響で苦しむ人々への対応と安全確保を両立しながら活動を実施しています。
「国内のさまざまな地域において、争いに巻き込まれた人々の元に支援を届けることは、いまだ大きな課題です。中でも北部アルジャウフ州やマアリブ州、東南部アビヤン州、東部シャブワ州とハドラマウト州の一部は困難な状況が続いています。ここ数カ月間は、ますます不安定となった環境の中、私たちは日々試行錯誤をしながら活動しています」と首都サヌアにあるICRC代表部代表のセドリック・シュヴァイツァーは話します。
ICRCは、先日イエメンのアムラン州のオフィスを閉鎖しましたが、「アムラン州において、可能な限り支援のニーズに対応し続けていきます」とシュヴァイツァーは説明。また「活動を続けるためには、アムラン州のみならず、イエメン全域において紛争当事者が私たちの活動を理解し、受け入れてくれることが重要です。赤十字の標章はスタッフを保護するもので宗教的な意味を含まないことを、すべての人が理解することも大切なことです」。
困難に直面する人々への支援
2014年1月から3月にかけて、ICRCは、収入源を失ったコミュニティを支援しました。ハドラマウト州ガイル・バワジール郡では毛布などの生活必需品や衛生用品を配付。またアブヤン州では、500人以上を対象に、生計を維持するためのプログラムを実施しました。ハチミツ生産で生計を立てていた約340人の避難民には、17のハチミツ搾取機を寄付。南西部タイズ州では、8世帯に対して生計を支援する小額融資を提供しました。
医療施設やリハビリセンターへの支援
医療サービスは、郊外や紛争地域などで特に苦境に立たされていて、ICRCは施設の改修やスタッフの訓練などといった支援を実施しています。
医療施設とサービスを拡充することで、より多くの患者への対応が可能となりました。また緊急事態に対応できるよう、医療従事者への研修を実施。国立リハビリセンターへの支援も継続していて、多くの人々がリハビリサービスを受けています。
安全な水と衛生の供給
イエメンにおいて、安全な水へのアクセスはいまだに大きな課題です。地下水の貯留量が急激に減少していることも、さらに状況を悪化させています。ICRCは農村地域の飲用水と灌漑用水の給水システムの修復を行っています。また、都市部においては水と衛生施設のインフラ整備に取り組んでいます。
収容所訪問と家族との連絡の維持
収容所に捕われている1,900人の処遇や生活環境に対する調査を実施。今年1月-3月に、ICRCは首都サアナ、南西部の都市タイズとアデンにあるそれぞれの収容所を7回訪問し、被拘束者の尊厳と人間性が尊重されているかなどを調査しました。
さらに、離ればなれになった家族が連絡をとれるように、ソマリア、エチオピアとエリトリアからイエメンに避難してきた難民とその家族間で、900通以上もの赤十字通信が交わされました 。
国際人道法の普及
民間人を保護する義務があることを全紛争当事者と確認することは、ICRCの基本的な役割の一つです。今年1月から3月にかけて、ICRCはイエメンにある57のイスラムの慈善団体に対して2日間のワークショップを実施。国内で活動する人道支援組織に対する行動規範について議論しました。
詳細は本部のウェブサイト(英語)をご覧ください