中央アフリカ共和国:蔓延する暴力で深刻な人道危機がさらに悪化

2014.03.28
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バンギ病院で患者と対話するICRC総裁のマウラー©ICRC/Rabih Mazboudi

ジュネーブ/バンギ(ICRC) – 「中央アフリカ共和国の人々の苦しい状況は日を追うごとに悪化しています。度重なる市民への暴力行為や略奪、殺人や性暴力によって、人々の恐怖はさらに増しています」と3日間の同国訪問を終えた赤十字国際委員会(ICRC)総裁のペーター・マウラーは話します。「貧困は蔓延し、国内制度が長きにわたる政情不安と危機により機能不全に陥っている状況のなか、治安回復への努力が強化されなければ、この国の人道支援への依存は今後も増すばかりでしょう」。

 

今回の訪問中、マウラー総裁は同国におけるICRCの主要パートナーである中央アフリカ赤十字社総裁だけでなく、中央アフリカ共和国大統領、政府関係者、市民組織の代表者らとも会談しました。また、マウラー総裁は、現状を自身の目で直接確かめるために、首都バンギ、北部のカガ・バンドロやンデレを訪問。ンデレでは、3月8日に現地で殺害されたICRC職員の追悼式も営まれました。

 

幼児を含むあらゆる人々への止まない無差別攻撃により、避難民や地元住民は極めて困難な環境で暮らしています。2013年12月以降、今までに類をみないほどの暴力が起きていますが、争いは西部や首都バンギに集中しています。数千もの人々が殺傷され、何十万もの人々が国内で避難、もしくは近隣諸国に逃れていて、苛酷な運命に耐えています。彼らは人道支援に頼らざるを得ません。国内最大の避難民居住地があるバンギ国際空港近くのムポコでは、ICRCが水を供給し、他の人道支援組織が食料と医療ケアを提供しています。

 

安全が確立されなければ、傷ついた人々を保護し彼らの生活状況を改善する取り組みが進みません。「中央アフリカ共和国の人々はみな、紛争の影響を受けています」と語るマウラー。「彼らには、尊厳を持ち、生命を脅かされることなく生きる権利があります。支援活動と人道支援従事者たちの安全自体が、劣悪な治安によって危険にさらされています」。

 

ICRCの 外科医3名からなるチームが24時間体制で地元の医療従事者への支援を提供しているバンギ 病院では、緊急治療を受けている患者の約70%が銃撃や刺傷の犠牲者です。病院への搬送を中央アフリカ赤十字社やICRCが支援しなければ、治療を受けるために命を危険にさらす必要があります。そのため、負傷者には迅速でスムーズな医療ケアへのアクセスが保障されなければなりません。彼らには保護され、治療を受ける権利があります。医療従事者や施設も、攻撃されることなく尊重されるべきです。

 

北部の都市カガ・バンドロのような場所では、ICRCは地域の委託病院を支援しています。さらに北部のウデレでは、ICRC職員が給水運営の維持を担っています。

 

「しかし、さらなる支援が必要です」とマウラーは訴えます。「そのために私たちは、特に医療分野における取り組みを増やしていきます。また支援活動の地理的範囲も拡大していくつもりです」。

 

人道支援組織の役割は、人々の希望と尊厳を取り戻すことでもあります。「中央アフリカ赤十字社のボランティアと協力して、私たちは支援を必要としている人々のニーズに沿った活動を展開していきます。しかし、安全が確保されず、国家サービスが機能しない状況では、人道支援がなし得ることにも限界があります」とマウラーは話します。

 

 

■ICRC総裁、ペーター・マウラーのインタビュー(動画)はこちら

■詳細な記事はICRCジュネーブ本部(外部サイト/英語)で確認できます。

■中央アフリカ共和国におけるICRCの活動についてはこちら(英語)をご覧下さい。