自律型兵器:人が果たすべき役割

2014.05.12
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未来型兵器を搭載した武装ロボット
(東京で行われた展示会にて)© Reuters / K. Kyung Hoon

 

ジュネーブ(ICRC)-国連ジュネーブ事務所(UNOG)で開催中の「自律型兵器に関する専門家会議」に出席している赤十字国際委員会(ICRC)は、自律型兵器使用の検討にあったっては、人の介入による機能の制限をどこまで設けるのか議論を尽くすよう各国に呼びかけています。

 

5月13日から4日間の日程で開催されている本会議には、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の締約国が参加。自律型兵器使用に関する法的、倫理的、社会的問題について検討が行われています。開会式に出席したICRC兵器担当課長のキャスリーン・ラワンドは、自律型兵器についてまとめたICRCの最新報告書を紹介し、今後議論を深めるべき問題について説明しました。

 

「自律型兵器の開発は、将来の紛争のあり方を大きく左右するでしょう」とラワンドは話します。「最も懸念されるのは、人間を含む軍事目標の特定といった重要な局面で、人による制限が効かない可能性が出てくるということです。人的介入なしに、機械に生死の判断をさせるという考えに大きな不安を覚えます」

 

ICRCは、自律型兵器の使用が国際人道法に抵触しないのか徹底的に考察するよう訴えています。これは、新兵器の導入・使用にあたり各国に求められている要件でもあります。

 

今回の専門家会議で発表されたICRCの報告書は、今年の3月に軍・文民専門家を招いてICRCが主催した自律型兵器に関する会議での議論をまとめたものです。兵士の命を危険にさらすことなく軍事能力を増強できるという点で、自律型兵器には多くの関心が寄せられています。

 

しかし、国際人道法を考慮しながらの複雑な状況判断が自律型兵器に可能なのか、依然として大きな懸念が残ります。例えば、自律型兵器は、紛争の最中に一般市民と戦闘員を区別することができるのでしょうか?一般市民に多大な被害が出ると予測された場合、攻撃を中止することは可能でしょうか?「これらの問題ひとつひとつを解決するには膨大なプログラミングが必要で、おそらく実現は不可能でしょう」とラワンドは続けます。自律機能が搭載された兵器は既に出回っています。兵器は自律化が進めば進むほど事態を予測する能力が落ちるため、その使用が国際人道法違反となる事態を招くこともあるかもしれないと、ICRCの報告書は警鐘を鳴らします。

 

自律型兵器に関する議論は、法的・技術的な側面を超えた根本的な問いに突き当たっています。それは、武力紛争で最終判断を下す際に人が果たす役割とは何かということです。この問いは、自律型兵器の使用は人道原則の観点から許されるのか、とも言い換えることができます。もし許されるなら、どのような条件を課すべきでしょうか?

 

自律型兵器に関するICRCの報告書(英語)はこちら