スーダン:支援が停止している間も人道危機はさらに悪化
ICRCニュース・リリース14/80
赤十字国際委員会(ICRC)は、私たちの支援活動の再開が認められないスーダンの現状を懸念しています。3カ月以上も活動停止を余儀なくされているなか、最も影響を受けているのは紛争地帯にとり残された人々です。人道危機はこの数ヶ月でさらに悪化し、ダルフール地方三州、青ナイル州、南コルドファン州では、多くの人々が避難を余儀なくされました。昨年だけで、ICRCの支援は1500万もの人々に行き渡りました。
「人道危機の悪化が進む一部の地域の現状を憂慮しています。スーダン政府当局とは現在、私たちに対する活動停止措置を一時的にでも解くよう交渉しているところです。とにかく今は、少しでも多くの人々を救いたいという思いしかありません」と東アフリカ事業局長であるエリック・マークレイは話します。
今年2月1日、ICRCは、人道支援組織の活動を統括する同国内務省の人道援助委員会により、活動停止を言い渡されました。国内における私たちの法的・外交的地位を、1984年の合意文書にさかのぼって見直す作業を政府と行っている最中でした。
私たちは、スーダン政府の求めに即座に応じ、ICRCの人道支援活動と、国内に駐在する代表部の地位について再交渉をする準備をしていました。当初建設的に進んでいた交渉は、徐々に遅れをみせ、いまだ合意に至っていません。「政府当局との交渉を終わらせ、支援活動を再開する準備はできてきます」とマークレイは続けます。しかし、この15週間、私たちの人道支援活動は停止状態にあるため、ICRCスーダン代表部の規模を大幅に縮小せざるをえない状況にきています。「650人いるスーダン人の現地職員のうち、195人を解雇しなくてはならず、本当に心苦しいです。とはいえ、他に選択肢がないのです」
私たちに後ろめたいことは一切なく、組織の理念と使命に則ってこれまで活動してきました。紛争犠牲者を保護するには、独立、公平、中立という私たちの活動原則を忠実に守ることが不可欠です。そのためには、紛争の全当事者との対話が求められます。また、支援を必要としている人がいれば、彼らが政府、反武装グループいずれの管轄下にいても、手を差し伸べることも必要です。こうした私たちの活動原則は、スーダンも加入しているジュネーブ諸条約ならびに追加議定書に明文化されているのです。
過去2年間、中立な組織として、私たちは反武装勢力に拘束されていた南スーダンの戦争捕虜やスーダン国軍兵をはじめ、中国人やトルコ人といった一般市民など、計200名以上の解放に関与しました。
昨年は、約42万6000人に食料支援を、32万5000人超に対しては農具と種を提供しました。また、数百万頭の動物にワクチンを接種し、紛争で生計を家畜に頼ることができなくなったダルフールの遊牧民族を支援しました。
水資源に乏しいダルフールでは、安全な水を70万8000人以上に届けました。ICRCが支援する医療施設を訪れた患者は昨年だけで7万2500人にのぼり、武力衝突で負傷した1400人以上が私たちが調達した医療物資によって治療を受けました。国内の6100もの人々が障がいを負い、その多くは紛争で手や足を失ったため、ICRCが運営する義肢・義足センターでリハビリを含めた支援を受けています。
詳細は本部のウェブサイト(英語)をご覧ください。