ウクライナ危機:2015年2月および3月の活動報告

2015.04.14

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食料や生活必需品の配付

赤十字国際委員会(ICRC)はドネツクやルガンスク地域で紛争の被害を受ける人々に、2700トン以上の支援物資を届けました。12万5000人以上の住人および避難民に対して、衛生用品や毛布、防水シート、プラスチックシートなどを配付しました。また、12万人に食料が配布され、そのうち3500人は入院患者、孤児院の子ども、そして高齢者施設で暮らす人々でした。

 

生活環境の改善

ルガンスクやドネツク地域で、紛争の最前線に暮らす2万3000人の避難民と住人に対し、反政府側か政府側かにかかわらず、セメントやれんが、木材、屋根材などの建築資材を提供しました。この建築資材は、砲撃の被害を受けた家々を再び居住可能な状態へ修理し、防水加工を施すために使用されます。また、ICRCは配電網を修理するための備品を寄付し、紛争の最前線に所在する35の村において、電気を復旧させました。

 

医療の保護

ICRCはルガンスクやドネツク地域に所在する18の病院と、反政府側の支配地域に所在する24の病院に対して、医療用品(包帯や薬品、縫合器具、点滴、血液透析用消耗品、戦闘による怪我を治療するための器具など)を提供しました。

 

被拘束者の訪問

ウクライナ政府当局の管轄下にあるザポリージャやオデッサ、ポルタヴァ、ハリコフ、アルテミフスク、スタロビルスク、キエフの収容所を訪問し、被拘束者の待遇や生活状況を確認しました。14の収容所へ17回の訪問を行い、紛争への関与が理由で拘束されている人々のうち55人を登録しました。

 

ICRCは反政府側の支配地域に所在する刑務所の訪問も継続し、被拘束者の待遇を調査しました。18の刑務所で約1万6000人の被拘束者に対し、衛生用品や食料を配付しました。また、被拘束者の要請を受け、収容所当局の許可のもとで被拘束者の家族に100通のメッセージを届けました。

 

行方不明者の追跡

ICRCはウクライナ赤十字社と協力し、行方不明者の追跡活動を行っています。家族からの300件以上の追跡依頼に応えるべく、現在もその活動は継続されています。

 

ICRCは紛争当事者双方からの要請を受け、中立な仲介者としてウクライナ人兵士の引き渡しに立会うほか、命を落としたウクライナ人兵士の遺体をドネツク空港で回収する際、法医学的な支援を提供しました。

 

紛争当事者との対話

ICRCは全紛争当事者との接触を持ち、医療施設の機能を低下させる要員となりうる戦闘行為や砲撃などの攻撃行為の発生について、連絡を取り続けています。

 

また、ウクライナ軍の司令官や軍事計画者、法律顧問21人を対象として、国際人道法をいかに意思決定に反映させるかというテーマの訓練コースをジトーミルで開催しました。ドニプロペテロウシクでも同様のコースを25人の高官に対して開催しました。

 

ウクライナ法務省、外務省、そしてウクライナ軍代表者4人が、3月18日から20日の間ミンスクで開催された「国際人道法の実践に関する地域会合(Regional Conference on IHL implementation)」に参加しました。これはICRCとベラルーシ法務省が共催した会議で、参加者は自国における国際人道法の施行状況について意見を交わしました。

 

不発弾から一般市民を保護

今年2月の停戦合意を受けて、人々は自宅への帰還を始めています。それに加えて農繁期が到来したことにより、地雷や爆発性戦争残存物(Explosive Remains of War : ERW)による被害が急増しています。この状況を受けて、ICRCは紛争地域の人々に15万冊のパンフレットを配布。各地で3000枚のポスターを貼り、被害を防ぐための啓発活動を行っています。また、ICRCはウクライナ赤十字社のボランティアに訓練を行い、彼らが人々に地雷や爆発性戦争残存物に関する知識を広められるよう、支援をしています。

 

ウクライナ赤十字社との協力

ICRCはウクライナ赤十字社と緊密に協力し、ドネツクやルガンスク地域で紛争の被害を受ける避難民および住民への支援活動を行ってきました。また、ウクライナ赤十字社を財政面で支援するほか、行方不明者の追跡活動や通信、危機対応に関する訓練も行いました。

 

クリミアの赤十字社支部との協力

ICRCはクリミアとセバストポリの赤十字社支部に対して、ウクライナ東部での戦闘から避難した人々へ配付するための物資を提供しています。2月と3月だけで、約1万3200人に食料や日用品が届けられました。2014年の6月以来、5万人以上が支援を受けたとされています。

 

ベラルーシ赤十字社との協力

ICRCはベラルーシに避難している3000のウクライナ人に冬服と食料を届けるため、ベラルーシ赤十字社に資金を提供しました。2月の始め以来、1300人に食料や日用品を購入するための、1600人に衣類や靴を購入するための現金引換え券が配布されました。

 

ロシア赤十字社との協力

2015年の3月に、ICRCはロストフやクラスノダール地方およびアディゲ共和国に避難しているウクライナ人のため、第二次物資配付を開始しました。毎月約2万3500人に食料や衛生用品が届けられています。ロシア赤十字社は2014年6月以来、約17万5000人を支援してきました。

 

またICRCは、ロシア赤十字社サンクトペテルブルク支部による、ウクライナからの避難民のための一時的な宿泊センターおよびホットライン運営事業も支援しています。

 

原文は本部サイト(英語)をご覧ください。