2018年の活動から見るアフリカ
2018年におけるICRCの地域別活動規模は、アフリカが最大の割合を占め、全体の四割に上りました。武力紛争や暴力によって犠牲を強いられた人々は、気候変動や極度の貧困、インフラ設備の欠如に苦しみ、アフリカ全土で支援活動を展開していくことが重要となっています。
食料支援
ICRCは紛争や暴力、災害に苦しむアフリカの人々に食料支援を行ってきました。差し迫った状況における食料支援は必要不可欠ですが、短期的なニーズを満たすだけでなく、自立して暮らしていけるよう支えることも重要です。2018年、ICRCはアフリカ全土の約280万人に食料を配付し、約404万人に生活自立支援を提供しました。自立を促す支援としては、農具や農作物の種子などの配付、漁獲用の網やボートなどの提供、そして家畜の健康管理のサポートやワクチン接種などの活動が挙げられます。マリでは約10万人に種や農具を提供、、約64万人に家畜のワクチン接種・治療を実施しました。
水と住宅支援
安全で衛生的な生活環境の構築・維持を目指しています。危機的な状況下では、戦闘によって必要不可欠なインフラが破壊され、基本的なサービスさえ機能せず利用が困難になることがあります。また、人々は水を求め、厳しい環境の中自宅を離れなければなりません。このような状況で優先されるべきは、当局との連携や、特定の事業を通じて必要とされるサービスを補助し、強化していくことです。ICRCはアフリカ全土で水・衛生設備を整え、約456万人が恩恵を受けました。また、そうした設備の改修により、保健、医療施設で約4200床分のサービス向上につながりました。
医療支援
医療サービスの拡充にも力を入れています。武器による負傷者に外科手術を行うだけでなく、リハビリ事業の一環で地雷などで被害を受けた人々に義肢・義足を提供しています。南スーダンでは、ICRCの外科チームが3000件以上の手術を行い、約3200人の障がい者が無料でリハビリを受けました。また、2018年は、コンゴ民主共和国で発生したエボラ出血熱に対処するため、赤十字・赤新月社や国際.赤十字・赤新月社連盟と協力してサービスを向上させ、感染拡大の抑制に取り組みました。最近では、緊急時の救助や遺体の取り扱いについて学ぶ講習会をエチオピアやソマリアで開催。今後こうした取り組みの広がりが期待されます。
家族の再会支援
紛争の暴力によって、家族と離ればなれになった人々のために、各国のパートナーである赤十字・赤新月社の協力を得ながら活動を行っています。アフリカ全土で家族と離ればなれになった約12万人が赤十字通信を受け取り、約66万人が家族間での通話を実現させました。また、紛争で行方不明となった身内の安否を知ることは残された家族にとってとても重要です。ICRCは、行方不明者の追跡調査や法医学サービスを実施し、遺体や遺留物の特定、地域レベルでの法医学のトレーニングや普及にも取り組みました。ケニアでは、ICRCの法医学者による遺体の身元確認および取り扱いの講習会が開かれました。