写真で振り返る2020年
2020年はこれまでにない年でした。新型コロナウイルス感染症の感染拡大からベイルートでの爆発、イエメン紛争下で捕らえられた被拘束者の帰還、ナゴルノ・カラバフ紛争拡大まで、前例のないことばかりでした。これらの写真は、武力紛争や自然災害の犠牲になった人々の力になるため、赤十字社や赤新月社と協力して私たちがこの一年間に行ってきた人道支援の重要な瞬間を捉えたものです。
ケニア―ナイロビから東に200km離れたエンジウ地域にある低木地帯で、サバクトビバッタの群れの中を駆け抜けて追い払おうとする男性。
アフリカの角(アフリカ大陸の東に位置するソマリア全域とエチオピアの一部などを占める半島)は7万ヘクタール以上の土地がバッタの大群に覆いつくされ、国連食糧農業機関(FAO)によると「過去25年間で最悪の状況」に陥っています。
黒川大助(EPA-EFE)
アフガニスタン―アフガニスタン・カンダハールにあるミルウェイズ地域病院。その日の最初の患者のために、助産師研修生が分娩室の準備をしています。
日によっては、ここで90人もの赤ちゃんが生まれるため、分娩室の中はいつも大忙しです。アフガニスタンで助産師は、最前線で働く重要な医療従事者です。女性と赤ちゃんが無事出産を生き抜くことができるよう日々奮闘しています。
リンジー・ビリング(ICRC)
モザンビーク―2019年にモザンビークやジンバブエ、マラウイを襲ったサイクロン・イダイによって、アフリカ南部の各国で暮らす300万人以上が被災しました。
あれから1年、ICRCは愛する人を亡くした家族たちを支援し、故人を尊厳をもって埋葬しました。何をもっても家族の喪失感を埋めることなどできませんが、愛する人が尊厳をもって埋葬されたと実感でき、またお墓参りをして故人をしのぶ場所ができることは残された家族にとって大きな救いになります。
ミオラ・ラジャオナリー(エブリデイ・アフリカ/ICRC)
イエメン―2020年3月、世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症はパンデミックだと宣言。ICRCが紛争下に置かれた地域コミュニティーに辿り着くには、さまざまな調整が必要となりました。
そのような状況の中、コロナ禍で影響を受けた21,000人に食料と衛生用品を配付しました。
サイフ・アロリビー(ICRC)
フィリピン―フィリピンの収容施設では長年にわたり結核が問題になっています。
新型コロナウイルス感染症はウイルスによって、結核は細菌によって発症するため、発症の仕方はそれぞれ異なるものの、どちらも収容施設で暮らす人々に計り知れない影響を及ぼしうるという点では同じです。こうした施設は、過密で、換気や衛生状態が悪く、感染症が蔓延しやすい環境にあるからです。新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐには、フィリピンで結核を封じ込めた過去の経験を活かして、保健面での措置を取る必要があります。写真はカランバの地域結核診療所。
ジェス・アズナー(ICRC)
ブラジル―新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための防護具を作るため、ICRCはフォルタレザの収容施設にミシンや清掃機、および必要な資材を寄贈しました。
カミラ・アルメイダ(ICRC)
コンゴ民主共和国―不運にもロックダウンによって、世界中で多くの人が虐待からの逃げ場を失いました。
コロナ禍では健康面が危険にさらされるだけでなく、性とジェンダーに基づく暴力も増加しています。こうした問題に対処するために私たちは、相談先についての情報を常に更新して、ラジオ放送を通じてコミュニティーにの人々に共有しています。
ジョナサン・ブサシ・ンサリンビ(ICRC)
ソマリア―新型コロナウイルス感染症の爆発的な感染拡大が懸念されるモガディシュの国内避難民キャンプにて、テントを消毒するソマリア赤新月社のスタッフ。
イスマイル・タクスタ(ICRC)
カメルーン―ホワイエ・コーネル・ダニエル・ド・ルーフィニャック視覚障害者施設で暮らす子どもや若者たちは、コロナ禍で孤立感を深めています。
この施設で暮らす人々はコロナ禍でほとんど外出できず、感染予防策を取るのも非常に困難な状況にありました。こうした子どもや若者たちを助けるために、カメルーン赤十字社は手洗い場を設置し、衛生用品を提供しました。また、感染予防策を子どもたちに指導しました。
ダニエル・ベロウモウ(ICRC)
ヨルダン川西岸―ナブルスにて。旧市街地にある小さな食料品店のオーナーのハジ・アブドゥル・ラヒーム・アブ・ガザレさん。コロナ禍以前は、パレスチナの他都市からたくさんのお客様が店に訪れていました。
ハジ・アブドゥル・ラヒームさんは「中産階級は没落してしまった」と語ります。
アッタ・ジャブル(ICRC)
レバノン―ベイルートでの2回の大爆発により行方不明者に加えて、180人以上が亡くなり、約6,000人が負傷しました。また、住まいのない子ども10万人を含む30万人がホームレスになりました。
レバノンでは歴史に残る悲劇的な出来事が続いてきましたが、この2回の大爆発が発生した8月4日も、同じように歴史に残る日となりました。
チャーベル・バラカット(ICRC)
レバノン―エリ・アル・シャイブさんは8月4日、爆風から娘と妻を守るために、二人の上に覆いかぶさりました。
家は一瞬で瓦礫に変わり、持ち物も思い出も粉々に砕けてしまいました。
ミリアム・アタラ(ICRC)
アフガニスタン―この国は今も昔も、市民にとって世界中で最も命が脅かされる場所の一つです。
写真はICRCの元患者で今は義肢の専門家のマーペカイ・セディキさんがカブールの整形外科協会で、二肢切断者のアブドゥル・ラシッドさんの脚に新しい義肢を付ける様子。アブドゥル・ラシッドさんは、2018年に誤って家に持ち帰った対戦車手榴弾が爆発して脚の一部を失いました。
アンドリュー・キルティ(ICRC)
ナゴルノ・カラバフ紛争― 1990年代以来ずっと紛争が続き、人々に苦痛と喪失をもたらしています。
地雷や不発弾による死者はこれまでに30,000人以上、負傷者は数千人にのぼります。それに加え、4,500人以上が行方不明になりました。写真は2020年9月27日の朝、紛争の両当事者が人口密集地域で大型兵器を使用した際に砲撃され、残骸と化した住宅で、男性が窓辺にたたずみ外を見ている様子。
エリック・グリゴリアン(EVNレポート)
イエメン―イエメン紛争下で捕らわれた1,000人以上の被拘束者に対して母国などへの帰還をICRCが支援する様子。5年半続いたイエメン紛争に関連してICRCが実施した帰還支援のうち、今回が最大規模のものとなりました。
グアテマラ―11月1日〜2日は死者の日(ディア・デ・ロス・ムエルトス)。友人や家族が故人をしのぶ日です。
ICRCのスタッフであるルイス・ペドロ・ドミンゲス・ゴンザレスとエリック・ラウール・ガルシア・キノンが、1982年にグアテマラの武力紛争下で行方不明になった当時18歳のエンカルナシオン・アペン・クルシックさんの追悼式に出席。遺体は未だ見つかっていません。
ダニエレ・ヴォルペ(ICRC)
スーダン―ハムダエット難民キャンプにて。ティグレでの戦闘から逃れてきてキャンプに到着したばかりのエチオピア人女性の治療に当たる、スーダン赤新月社の医療従事者。
オリバー・ジョバード(MYOP)