ガザ地区とヨルダン川西岸地域での活動報告: 戦闘に巻き込まれたすべての市民に支援の手を差し伸べるために
長期化するガザ地区とイスラエルの戦闘で、市民は大きな苦痛を強いられています。支援を必要とする全ての人々に手を差し伸べようと尽力している人道支援従事者も、深刻な安全の危機に直面しています。7月25日、ガザ地区南部のクーザで、負傷者の治療にあたっていたパレスチナ赤新月社のボランティアが殺されました。彼を助けようとした救急医療ボランティアも攻撃の対象とされたため、彼を病院へ搬送することが出来ませんでした。この事件が起きた数時間前には、ガザ地区北部のベイト・ハヌーンでも、別のボランティア1名が殺害され、3名が負傷しました。
人道支援における優先事項
人口が集中しているガザ地区に暮らす人々の苦しみを和らげ、水や医療、避難所へのアクセスを回復させるために、赤十字国際委員会(ICRC)は、パレスチナ赤新月社や当局と協力して、日夜活動しています。ICRCによる支援のもと、赤新月社の救急車は夜を徹して負傷者を病院へ運んでいます。
最大の課題は、さらなる攻撃と戦闘から人々を保護することです。ICRCは、戦闘行為に関する紛争当事者との対話に力を入れており、国際人道法における義務を遵守し、市民と民用物に戦闘の被害が及ばないよう常に配慮する必要があると訴えています。人道支援は暴力による苦しみをある程度は和らげることができますが、苦しみ自体を予防することはできません。政治レベルでの適切な行動のみが、真に市民を保護することができるのです。
医療
傷病者の搬送や病院への支援は、ICRCが注力している活動です。私たちは、医療へのアクセスを確保するために力を尽くしています。
- パレスチナ赤新月社の救急医療サービスに対し財政および物質両面での支援を提供。
- 紛争地域を通過する救急車が安全に走行できるよう、関係当局と調整。
- 救急車や病院の発電機に使用する燃料を提供。
- 攻撃を受けたアルアクサ病院の支援。
- アルシファ病院に緊急医療の専門医を派遣。
安全な水と公衆衛生
ICRCは下記の活動をしています。
- 紛争発生後から20件のプロジェクトを実施。これにより、約37万人が新たに飲み水や公衆衛生にアクセス可能に。
- 損害を受けた給水および発電施設の点検と修理。
- 給水や配水管、灌漑設備の点検を地元の水道委員会と実施。
- ベイト・ハヌーンやラファなどで、電力復元のための緊急修理の実施。
人道支援
私たちは、パレスチナ赤新月社と緊密に連携を図りながら、住む場所を追われた人々を支援しています。
- これまで、6つの地域にいる3,500あまりの避難民を支援。
- 家が破壊され、損害を受けた500以上の世帯に対し、毛布やマットレス、調理器具、居住施設のための防水シートを配付。
- 被害を受けた住居の位置を把握できるよう赤新月社を支援。
- 仮設避難所に住んでいる避難民のニーズを把握できるよう赤新月社を支援。
パレスチナ赤新月社およびマーゲン・ダビド公社との連携
- 紛争開始以降、パレスチナ赤新月社は、計2,625人の負傷者を病院へ、461名の遺体を安置所へ搬送。この間、ICRCは特に危険な地域においてアクセスの確保と保護を目的とした支援を展開。
- パレスチナ赤新月社への支援を増額。
- 赤新月社が所有・管轄する42台の救急車や病院、リハビリテーション・センター、クリニック等での活動を全面的に支援。
- マーゲン・ダビド公社と共にイスラエルでの人道ニーズのアセスメントを複数回実施し、市民や民用物の被害状況を記録。
多くの人命を救うためには、十分な医療物資と機材が不可欠です。戦闘が勃発してから、私たちICRCはガザ地区に次のような物資を届けています:
- 重傷患者300名を一週間治療するのに足りる医療物資。
- 生活用品500セット。
- トラック12台分の医療品と血液。
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