コンゴ民主共和国:北キブ州ゴマ 戦闘被害者を救うための迅速な対応

2012.11.23

コンゴ民主共和国(DRC)東部の主要都市ゴマとその周辺では政府軍と武装勢力による衝突が勃発していましたが、21日から2日間で経済や公共交通機関は徐々に落ち着きを取り戻してきています。こうした事態を受け、DRC赤十字社と密に連携を取るICRCは人々の需要を調査し、緊急支援を行いました。

ゴマのICRC副代表部首席代表Frédéric Boyerは「多数が負傷し、ゴマへの避難を余儀なくされた何千もの人々は数日間支援を受けられない状態でした」と話します。ゴマの治安状況は多少落ち着いたものの、ICRCは、特にデモの際に暴力が勃発した西部のSakeとMinova、北東部KisanganiとBunia、東部ブカブなど、ゴマの外に住む人々の状況に懸念を抱いています。

Boyerは次のように説明します。「前線が移動するにつれ、北・南キブ州の新たな地域が紛争による直接的な被害を受けています。その他の地域に住む人々も、いつ戦闘に巻き込まれるか分からない恐怖に脅えながら生活しています」

ICRCは、一般市民を戦闘に巻き込まずに常に守らなければいけない義務をすべての紛争当事者に繰り返し伝えています。ICRCのDRC代表部首席代表Franz Rauchensteinは「負傷した一般市民と兵士は瀕死の状態です」と話し、「すべての傷病者は医療を受ける権利を持っています。医療施設や医療従事者と同様に保護されるべきなのです。また、赤十字標章は尊重されなければなりません」と強調しました。

手術の再開

初期評価の結果、21日と22日にゴマの2ヵ所の病院では、約80人の戦闘負傷者が確認されました。そのうちの半数は今回の戦闘による負傷者ですが、それ以前に負傷した人々の治療も行っている病院としてはさらなる負担となっています。ICRC外科チームは22日、4人の戦傷者の手術を行いました。同チームはゴマのN’Dosho病院で手術を再開し、昼夜を通して現地の職員とともに患者の対応に当たっています。21日以降、ICRCは同病院に薬と医療品、2万8千リットルの飲料水を提供しました。

ゴマのKatindo軍病院も、薬や医療品に加えて、レントゲンや滅菌装置に使われる発電機用の燃料を受け取りました。私たちは同病院の患者を訪問し、病院の現在の治療能力を評価。他の2ヵ所についても23日に実施しました。

ICRCは病院への支援を強化するため、現場の医療チームの補強を決定。これに伴い、ジュネーブを拠点に働くICRCの外科医長がゴマに入りました。また、ブカブと南キブ州において、今回の衝突による負傷者を病院に搬送するなど、医療施設への支援を継続しています。

水と燃料

ゴマへの避難民の流入を考慮し、Don Bosco一時滞在キャンプなどの仮設避難所に8万5千リットルの水を配付しました。同キャンプには家族のいない子どもや家を追われた7,000人の人々が避難しました。

また、ゴマのポンプ場には発電機用の燃料が支給されました。3ヵ所のポンプ場のうち2ヵ所が機能し始め、市内のほとんどの場所に給水されました。

赤十字社との協力

私たちはDRC赤十字社と密に連携を取りながら活動を行っています。赤十字ボランティアと協力し、家族と離れ離れになった60人の子どもを21日から2日間登録しました。家族の追跡調査は目下進行中です。

また、私たちが支援するDRC赤十字社チームは、ゴマで亡くなった60人の遺体を収集、登録しました。

ICRCは、1978年にDRCで活動を開始し、北・南キブ州では1994年から活動しています。一般市民と被拘束者の処遇における国際人道法遵守の強化、および武力紛争やその他の暴力による被害を受けた人々の支援を行っています。

ゴマのICRC副代表部首席代表Frédéric Boyerによる現地報告は、Youtubeでご覧いただけます。

詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。