【インタビュー】レバノン:アルサル地方で高まる緊張

2014.08.28

シリアとの国境地帯であるレバノン北東部の街アルサル地方では、地元住民よりシリア難民の方が数の上では上回っています。このような中、レバノン軍とシリア反政府勢力との間で戦闘が勃発しました。ICRCレバノン代表部の首席代表であるファブリジオ・カルボニが、現状がレバノン市民に与える影響やICRCとレバノン赤十字社による支援活動について説明します。

 

<以下インタビューの抜粋>

シリアとの国境地帯であるレバノン北東部のアルサル地方では、8月2日にレバノン軍とシリア反政府勢力との間で戦闘が勃発し、緊張状態が続いています。

「今回の衝突により、一般市民が最も大きな被害を受けました。多くが負傷し、数十人が命を落としています。また家屋や難民用テントも破壊されました。衝突が起きているレバノンのアルサル地方は、最後に残ったシリアからの難民受け入れ地域で、シリア難民5万人に対し地元住民は3万から3万5000人と、難民の方が数では上回っています」

 

「衝突が起きる以前から、避難民と地元住民は苦痛を強いられていました。アルサル地方は貧しい地域です。シリア難民は、紛争で家を離れることを余儀なくされた経験がトラウマとなっており、レバノンの人々は、彼らに対し出来る限りの支援の手を差し伸べてきたのです」

 

「以前から私たちはこの地域で活動をしており、人道支援上の優先課題として次の二つに取り組んでいます。一つ目は、負傷者が適切な治療を受けられるよう安全な医療施設に避難させること。二つ目は、給水網を整備することで、市内の水道設備を再建することを直ちに決定しました」

 

「レバノン赤十字社と協力して、戦闘地域からの避難を支援しています。人道支援活動だけでこの難民問題を解決できるわけではありません。真の解決には、シリアでの政治的取組や地域全体としての難民への対応など、様々な側面からの政治的な決定が必要となります」

詳細はジュネーブ本部ウェブサイト(英語)をご覧下さい