Health Care in Dangerキャンペーン:第一歩となるシンポジウムをロンドンで開催
医療要員の誘拐、医師の殺害、診療所への襲撃、何万人もの子ども達に対する予防接種の妨害― 武力衝突によって医療が妨害された、生々しいケースの数々。医療専門化、人道支援専門家がロンドンで一堂に会し、緊急対策の必要性を訴えました。
過去に例のない会合
4月23日に行われたシンポジウムでは、政策決定者や学者、医療関係者、そして市民活動家が一堂に会し、医療行為への武力による妨害に関して話し合いました。150人の参加者からはこの問題への対策として、第一に問題の実態を示すデータに基づいた、意識向上のためのキャンペーンの実施、第二に医療の中立性を守るための政府による国内法整備、そして第三に紛争下で任務にあたる医療従事者が現場で直面するジレンマを払拭するための、医療倫理への再考が挙げられました。今後はさらに一年半の期間をかけて、軍隊や各国代表者を交えたワークショップを開催し、より具体的な議論を進めていく予定です。
治療を妨害されたケースの紹介
国境無き医師団(MSF)のUnni Karunakara代表より、問題となっている事例の紹介がありました。Karunakara代表は、MSFスタッフ2人の誘拐とケニアスタッフの射殺により、ソマリア難民47万人が医療を受ける機会を失ったことや、南スーダンでMSFの病院が荒らされ、16万人が100キロ先の病院に足を運ばざるを得なかったことについて触れ、さらに医療物資の輸入に関する制限や検問での煩雑な手続き、異様に高額な料金・税金なども、迅速で効果的な医療行為の妨げになると述べました。
信憑性のあるデータを
世界保健機関専門家のRudi Coninx氏は、医療従事者や医療施設への攻撃について、より信憑性の高いデータの必要性を強調しました。傾向分析のためだけでなく、自身の行為を見直しリスクを軽減するためにも有効なことです。
保健活動家のLen Rubenstein教授は、武装グループが国際人道法を遵守することの難しさを述べ、医療従事者が公平で中立な立場から活動にあたることを強調することが重要であると発言しました。
政府だけでなく、医療従事者自身によるアクションが必要
ICRC医療アドバイザーのRobin Couplandは、問題に立ち向かうには様々な対策が必要となる一方で、まずは医療従事者自身が、危険下でも公平に医療を提供する意識を高めることが重要であると訴えました。問題意識がないことには、いかなる政策があろうと対策りません。「問題の解決は私たち自身にかかっています」
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。