アフガニスタン:医療へのアクセス不足が更なる人道危機を招く

2012.07.25

アフガニスタンでは夏の「戦闘の季節」が佳境に入り、一般市民への影響が増大しています。直接的な戦闘による被害だけでなく、医療サービスを受けられないことも、暴力被害の一つです。

国内の治安状況悪化により、多くの人々が医療施設へアクセスできなくなっています。医療サービスの需要が高い地方の町に、都市部から医療従事者が赴くことも困難な状況です。

国際軍からアフガニスタンの監督下に被拘束者を引き渡す際は、引き渡しの間もその後も、被拘束者への待遇や収容所の環境が国際人道法に基づいていなければなりません。また、被拘束者には適切な保護と裁判権が保証される必要があります。このことについて過去3ヶ月間、アフガニスタンの収容所当局との間で激しい議論が続いていました。

一方で、ICRCが2ヶ月に渡って行った車椅子のバスケットボール選手へのトレーニングは、6月15日まで4日間カブールで行われたトーナメント戦で幕を閉じました。このトレーニングは、ICRCによる障害者のための社会復帰支援の1つです。ICRCの社会復帰支援には、職業訓練、患者向けのマイクロクレジット融資、障害を持つ子供へのホームスクーリングなどもあります。

収容所の訪問、家族の再会支援
ICRCは世界各地の収容所を訪問し、被拘束者が置かれている環境や待遇を確認しています。アフガニスタンでは定期的な収容所の訪問に加え、紛争によって離別した家族の再会支援や行方不明者の捜索を行っています。

医療の提供
医療機関への支援は、アフガニスタンにおけるICRCの主要活動の一つです。ICRCは、公立病院への薬の提供や医療面の支援に併せ、アフガニスタン赤新月社が運営する47の病院に技術・財政・物資面に関する支援を行っています。さらに、戦闘の前線地域に応急処置キットを提供し、戦闘員と一般市民に応急処置訓練を実施しています。

義肢の提供、身体リハビリテーションの実施
ICRCはアフガニスタンに7ヶ所の義肢センターを構えており、手足を切断した人や障害を持つ人にリハビリテーションを実施しています。障害を持つ人には、職業訓練やマイクロクレジット融資、ホームスクーリングなどの社会復帰支援を行っています。また、対まひの患者には在宅での医療・財政・社会面での支援を行っています。

食料配付、自立支援など
アフガニスタン赤新月社との協力の下、ICRCは紛争や自然災害の被害を受けた人々に食料やその他の生活必需品を配付しています。また、一家の大黒柱が家族を養えるよう、food-for-workプログラム(仕事を与え、その対価として食料を支給するプログラム)や、家畜を飼う農家が獣医学の基本的な知識・技術を習得するための研修も行っています。

水・衛生環境の改善
ICRCは農村部と都市部の住民に安全な水の供給を行うため、地元の水道委員会と密に連携をとり、井戸の掘削やパイプラインの設置を行うほか、住民を対象に手動式ポンプの維持管理に関する研修を実施しています。また、収容所内の衛生環境を改善するため、当局への指導を行っています。

アフガニスタン赤新月社との提携
ICRCは、アフガニスタン赤新月社が住民への支援や様々なプログラムを実施できるよう、技術・財政両面から支援を行っています。

詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。