シリア:ホムス、ダマスカス郊外の住民に支援

2012.10.25

ICRCとシリア赤新月社は、激しい戦闘の被害を受けている人々に支援を行っています。またICRCは、非常に大きな被害を受けた地域にも医療品を届けることに成功しました。

ICRCのスタッフは今週、支援活動を行うため再びホムスに入りました。今回の主要活動は病院や医療施設への支援でした。ICRCシリア代表部首席代表のMarianne Gasserは、「今回の活動は間違いなく大きな進展と言えますが、課題はまだ山積みです」と話し、「支援活動は多くの危険を伴うため、慎重に行う必要があります。特に、最も危険な場所で活動するICRC職員とシリア赤新月社ボランティアは常に危険にさらされています」と続けました。ICRC職員はホムスに加え、HarastaやSweidaなど、多くの避難者が身を寄せているダマスカス郊外の地域にも足を運んでいます。

ICRCは50人から100人分の医療品をホムスのal-Birr私立病院に、麻酔薬、包帯、静脈内輸液をal-Amin私立病院に提供しました。さらに、現在保健省が改修を行っているBab Amrの医療施設を訪問し、今後の支援活動を視野に入れた調査を実施しました。

10月21日、シリア赤新月社のボランティア1名が、ダマスカス郊外Harastaでの活動へ向かう途中、戦闘に巻き込まれ命を落としました。翌日には別の2名のボランティアが同じくHarastaで、それぞれの活動中に事件に巻き込まれ負傷しました。国際人道法の下、武力紛争の当事者は常に一般市民と戦闘に参加している人を区別しなければなりません。

シリア赤新月社と共同で、ICRCはホムスから北西10kmに位置するJwalekでのニーズを調査しました。10月に入り、ホムス市内の武力衝突を避け何百人もがJwalekに避難してきています。シリア赤新月社は同地域で困窮していた約400人に対し、緊急支援として食料や毛布、マットレスなどを配付しました。また、子どもには学習道具も提供しました。

ICRCはシリア国内の人道状況に非常に懸念を抱いています。武力衝突はホムス、アレッポ、イドリブ、ハマ、Deir Ez-Zor、ダマスカス市内・郊外などの住民に特に深刻な被害を与えています。ICRCは今後もシリア赤新月社との協力のもと、特に大きな被害を受けた地域における現場での活動を強化していきます。先月ICRC総裁ペーター・マウラーがシリアを訪問して以来、ICRCはシリア当局と人道問題に関する対話を重ねてきました。ICRCは同国内における医療支援の拡大やすべての被拘束者の訪問を実現したいと考えています。

年始以降、ICRCとシリア赤新月社は100万人分以上の食料と、25万人分の基本的な家庭用品を配付してきました。また、ダマスカス市内・郊外、ホムスにおいて、100万人分以上の水を供給しました。シリア赤新月社のボランティアスタッフは1年半以上にわたり、暴力の被害を受けた地域の人々を救うため、自らの命を危険にさらしながら応急手当や負傷者の移動を絶え間なく行っています。「人道ニーズは高まるばかりです。支援の進捗は見られますが、現場の差し迫ったニーズに応えるには、まだまだやらなければならないことがあります」とGasserは語ります。

ICRCとシリア赤新月社が10月に行った活動

食料とその他の必需品

・ ダマスカス市内・郊外、イドリブ、ホムス、ハマ、アレッポ、Sweida、Tartous、Raqqa、Deir Ez-Zor、Lattakiaの約15万人に1ヵ月分の食料パックを配付。また、マットレス、マット、タオル、衛生用品、ろうそくなど基本的な家庭用品を数千個配付。
・ 公共施設に身を寄せる避難者を中心に4万枚以上の毛布を配付。

水、衛生、避難所

・ ダマスカス郊外、ホムス、アレッポ、Raqqaにおいて、35ヵ所以上の学校と公共施設に避難している2万人以上を対象に、避難所および水・衛生施設を緊急修理・改善した。
・ 銃弾により破損した、ホムス市内の2,000キロボルトアンペアの補助発電機をICRCの配水設備エンジニアが修理。結果、Ain al-Tanourの配水ポンプ場が再び順調に稼動し始め、市内100万人以上の人々へ安全な水の供給が可能となった。
・ アレッポで、地元の水委員会による市内数ヵ所のパイプライン修理をICRCが支援。パイプラインは何十万もの人々に水を供給しているが、戦闘によりひどく損傷していた。
・ ICRCはダマスカス郊外、ホムス、Deir Ez-Zorにおいて、学校やその他の公共施設に避難している人々およびホストファミリーのもとに身を寄せる8万人以上の人々にトラックで飲料水を提供しているシリア赤新月社への支援を継続。

医療

・ ICRCの医療スタッフと配水設備エンジニアがHarasta国立病院を訪れ、施設のニーズを調査。また、麻酔薬、縫合材料、包帯などの医療品を提供した。
・ ICRCはホムスのal-Birr私立病院とal-Amin私立病院に薬と医療品を、シリア赤新月社に歩行補助用の杖と車椅子を提供した。

詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。