シリア:一般市民の尊重を戦闘当事者に緊急呼びかけ

2012.11.26

ジュネーブ/ダマスカス(ICRC)- ICRCはシリアの紛争当事者による敵対行為における対応に懸念を抱いています。ICRC事業局長ピエール・クレヘンビュールは、「紛争当事者は一般市民の状況にほとんど目を向けていない状況です」と話します。

クレヘンビュールは続けて、「約20ヶ月もの間、いっこうに収まらない戦闘により、建物への甚大な被害、世帯ごとの避難、何千もの負傷者と避難民、食料・水・医療など基本的な生活必需品やサービスを求めようと葛藤する一般市民が後を絶ちません」と説明。シリアの人道状況は日を追うごとに悪化していて、一般市民の需要は増え続けています。

「武力衝突の悪化により市民への負担が増すにつれ、私たちはすべての紛争当事者に対し、武力紛争法としても知られる国際人道法の完全な遵守を強く求めています」とクレヘンビュールは言います。この法律が定めるルールと原則は、シリアの武力紛争に関わるすべての当事者に適用され、使用される可能性のある戦闘方法・手段に規制を課します。ICRCはこれらの当事者に対し、一般市民と戦闘に直接参加している人々との区別を常に行わなければならない必要性を繰り返し訴えかけています。

治安の悪化と将来への不安が増すにつれ、被害を受けた世帯は悲しみと絶望に直面しています。生活は妨害され、健康水準も悪化しました。基本的な食料の入手は困難な状況で、たくさんの子どもが学校へ行けなくなりました。また、多くの公共施設が仮設の簡易避難所となり、何十万もの男性、女性、子どもが紛争により避難を余儀なくされています。家を追われた人々の多くは安全を求めて国境を渡り、近隣諸国に避難しました。

国際人道法のもとでは攻撃は軍事標的のみに向けられるべきで、一般市民や家、学校、医療施設、医療搬送車両、避難所、礼拝所などの攻撃は許されないことを、私たちは繰り返し強調しています。また、国際人道法は、一般市民および傷病者や被拘束者など敵対行為に参加していない、あるいはもはや参加していない人々を常に尊重しなければいけないと定めています。

「人道支援の需要がこれまでにも増して深刻な今、ICRCは兵器を携えるすべての者に対し、人道団体職員を尊重するよう再度呼びかけます」とクレヘンビュール。この紛争が勃発してから、シリア赤新月社のボランティア6名が活動中に命を落とすという厳しい現実に直面しています。クレヘンビュールは「赤新月と赤十字の目的は、必要とする人々に対し公平かつ中立な人命救助活動を行うことです」と強調。医療従事者は非常に厳しい状況下で活動しているにも関わらず、戦闘中は命を守られていないのが現状です。戦闘に関わるすべての人々は常に医療従事者の活動に敬意と協力を示し、赤十字・赤新月標章を尊重しなければなりません。

詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。